移籍したところでやはり、ノーコンが治るわけではなかった。オリオールズ・藤浪晋太郎の死球連発に、報復を恐れる自軍チームメートが戦々恐々としているのだ。
藤浪が現地時間8月2日のブルージェイズ戦(トロント)、1-1で迎えた6回二死一、二塁のピンチでマウンドに上がったが、制球が定まらない。ジョージ・スプリンガーへの四球で満塁とした後、マット・チャップマン、ダニー・ジャンセンに連続で死球を与え、球場内から大ブーイングを浴びた。特にジャンセンには、この試合でも最速の100マイル(約160.9キロ)を記録したストレートが直撃。当たり所によっては、大ケガにつながりかねなかった。MLBを取材するスポーツライターが言う。
「藤浪は制球力に非常に難がある投手であり、今回も故意ではないことは分かります。とはいえ、これからリーグ優勝やポストシーズン進出に向けて大事な時期を迎えるチームにとっては、ぶつけられてはたまらない。今後、報復措置を講じるチームが出てくるのは間違いないでしょう」
日本とは違って、メジャーでは報復は日常茶飯事だ。7月28日には、元巨人でカージナルスのマイルズ・マイコラスが5試合の出場停止処分を科された。これは先発した前日のカブス戦初回、二死の場面で、イアン・ハップがスイングした際のフォロースルーが捕手ウィルソン・コントレラスを直撃。頭部を押さえて倒れ込み、そのまま負傷交代したことが引き金になっている。
その直後にマイコラスはハップの腰付近に、94マイル(約151.3キロ)の故意死球を当て、退場となったからだ。カージナルスのオリバー・マーモル監督も、これにより1試合の出場停止処分と罰金が科されている。
藤浪がこれまで同様に、死球を供給し続ければ場外乱闘騒ぎが勃発する。チームメートは巻き込まれて予想外のケガに見舞われたり、報復されたりする可能性は十分にある。
「藤浪は、投げてみなければ分からない投手。いつトバッチリがくるか、予測できない。チームメートもハラハラして、彼の投球を見守ることになるでしょう」(前出・スポーツライター)
ただでさえ、藤浪はメンタルの弱さが指摘されてきた。チームが優勝争いをしているだけに、緊迫した場面での登板が増えるのは間違いない。そのガラスのメンタルで、手元が狂わない保証はないのだ。
(阿部勝彦)