国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会の専門家が、ジャニーズ事務所の性虐待問題について、日本記者クラブで記者会見を開いた。被害者との面談の結果、ジャニーズ事務所の数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれた疑惑が明らかになったという。同部会は来年6月、理事会に報告書を提出する予定だが、「不祥事の揉み消しに加担してきた」と国連作業部会に猛批判された日本のテレビ局はなお、注視の姿勢だ。
「これは尋常ではない被害者数ですが、なぜジャニー喜多川氏が生きているうちに訴えることができなかったのか。証拠の動画も存在していたといいますし、それがあったのなら、もっと早く問題にすべきだったのでは、という意見もありますね」(芸能ジャーナリスト)
そこはやはり、テレビ局が忖度、黙殺する「ジャニーズ王国」たる芸能界の闇そのもの。ただ、誰も訴えていなかったかといえば、そうではないと明かすのは、テレビ局に出入りするヘアメイク担当者である。
「例えば12年ほど前の一件です。ジャニーズのタレントから性被害に悩んでいることを相談されました。当時は親身になって相談に乗っていたものの、どうしたらいいかわからなかった。そのタレントも、事務所に訴えることは怖かったんです。そりゃそうですよね、彼も仕事を失いたくないわけですから。しかも『訴えたところで、絶対に潰される』と話していました。今、こうやって問題になっているのを目の当たりにして、なぜあの時に彼を救ってあげられなかったのだろうと悔やんでいます。そのタレントはその後、事務所を辞めてしまいましたが…。この期に及んでまだジャニーズの顔色をうかがうテレビ局は、どうかしていると思います」
国連作業部会の会見後に姿を見せた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」メンバーのひとりは、この問題を「人類史上最悪の性虐待事件」と言った。
ジャニーズを重用し、忖度し続けるテレビ各局は「不祥事揉み消し」という「加害者の一部」に認定されたことに、何か見解を語ることはあるのか。