波乱続きの夏競馬も残り1カ月。C・ルメールと川田将雅によるハイレベルなリーディング争いが注目される中、札幌は函館リーディングの佐々木大輔が滞在し、新潟は菅原明良、小倉で西村淳也が暴れまくる。大穴ジョッキー「新御三家」の狙いどころを見極めて、夏競馬をウハウハで締めよう。
7月9日の福島4RでJRA歴代最高配当の枠連14万9110円が飛び出すなど、今年も荒れ模様の夏競馬。猛暑続きが要因の1つとも思われるが、波乱を演出するのは騎手の腕にもかかっている。
週刊アサヒ芸能連載でもおなじみの競馬ライター・伊吹雅也氏が、夏競馬の大穴ジョッキーとして真っ先に取り上げたのが、史上最年少で今年の函館リーディングに輝いた佐々木大輔(19)だ。
6月10日にスタートした第1回函館で8勝、続く第2回函館では10勝を挙げ、昨年まで3年連続函館リーディングを獲得していた横山武史(24)に4勝差をつける圧勝劇だった。
「昨年3月にデビューしてから23年2月までの1年間は、3着内率12.5%、複勝回収率が62%と平凡な成績でした。しかし、今年の3月以降は3着内率が25.2%、複勝回収率は97%に跳ね上がっています」(7月23日終了時点。以下同)
昨夏は福島や新潟を主戦場としていて1勝しかできなかったが、今年の快進撃の理由を、スポーツ紙美浦担当記者が明かす。
「昨年は所属先の菊川正達調教師が美浦で厩舎作業や調教技術を徹底的に身につけさせていた。そのかいがあり、今年1月に初めて小倉に滞在した時には、栗東の調教師からも信頼を得られて勝ち星を伸ばした。5月の新潟開催でも菱田裕二(30)とリーディング争いを演じ、1勝差でタイトルを逃しましたが、しっかりと実績を残しました」
7月30日終了時点で37勝を挙げ、東のリーディング5位の佐々木大。勝ちパターンでしっかり覚えておきたいのが逃げ・先行だ。
「前走の4角通過順が1番手だった馬に騎乗したレースは、23年2月以前を含めても〈8 6 4 25〉で、3着内率は41.9%(複勝回収率99%)。このうち芝は〈5 4 2 13〉で3着内率45.8%(同131%)。逃げ馬での一発は、条件を問わず警戒しておきたいところです」(伊吹氏)
昨年4月10日、記念すべき初勝利を挙げた時も先行馬ではあったが、ホロ苦い思い出だそうで、
「自厩舎のスイートカルデアで1番人気に応えたのですが、前走では大逃げから失速して5着。乗り替わりになってもおかしくないケースだっただけに、いい教訓になっているそうです」(美浦担当記者)
今年7月1日には自身最高の1日4勝、翌日も2勝を挙げ、猛アピールした。
「特に日曜の新馬戦(函館芝1800メートル)は牝馬のワンブランチ(3番人気)に騎乗し、1番人気の横山和生(30)と5番人気の古川吉洋(45)の馬に外から併せていって競り勝った。着実に腕を上げている」(美浦担当記者)
さらに先行馬だけではなく、牝馬や左回りでも良績を残している。
「今年の3月以降に限ると牝馬での3着内率は32.6%(同110%)。4月22日の尾瀬特別(福島ダ1700メートル)では15番人気のヴィブラフォンで2番手追走から勝ち切っていますし、左回りのレースでは単勝回収率が373%(同140%)に達していました」(伊吹氏)
この夏は札幌に滞在予定だが、新潟にスポット参戦してきた場合は狙い目だ。