なんともあからさまな「おねだり」である。
公明党の山口那津男代表は8月9日に岸田文雄総理と会談した際、「8月28日から中国を訪問するので、習近平国家主席宛ての親書を作成してほしい」と依頼したのだ。会談後に山口氏が自ら明らかにしたもので、公然と親書作成を要請するのは異例のことだ。
公明党関係者によれば、訪中は決まったものの、誰と会談するかが未定なのだという。山口氏とすれば、コロナで中断していた訪中の再開だけに、トップの習主席と会談したい。首相の親書を携えているといえば中国側も配慮してくれるだろう、との計算があるのだ。
山口氏が親書を持参するとなれば、今回が初めてではない。安倍晋三政権下でも毎年のように訪中していたが、安倍首相の親書をもらい、それを習主席に手渡していた。2015年の訪中では、習主席との面会時間はわずか1分だったが、アジアの政党代表者の中で「最も長い時間」を確保できたと、胸を張っていた。
公明党は1972年の日中国交正常化の地ならしを行った自負があり、親中派を自認している。ただ、山口氏はその親中ぶりが度を越しており、中国が反発する福島第一原発の処理水の海洋放出について、海水浴シーズンは避けた方がいいと忖度発言。与党内からも批判を浴びた。
山口氏が訪中するタイミングは、「夏頃」とする処理水の放出と重なる可能性もある。与党の一員として、日本の方針をきちんと説明する責務が、山口氏にはあろう。それをわかっているのかどうか…。