芸能

早瀬久美「10代でやった役で『絶対結婚しない』と思った」/テリー伊藤対談(2)

テリー 「おれは男だ!」より前に「お嫁さん」(フジテレビ系)で主演してますよね。

早瀬 そうですね。その前に「ヤング720」(TBS系)っていう情報番組で司会をやらせてもらったんですけど、ドラマはそれが初めてでした。

テリー あれ、松竹製作ですよね。

早瀬 そうです。松竹が新人女優をピックアップして。新人女優の登竜門みたいなドラマでした。

テリー 早瀬さんは第4シリーズの主演で、第1シリーズの主演は梓みちよさん。で、その後が東山明美さん、尾崎奈々さん。

早瀬 そうです、そうです。よくご存じですね。

テリー 僕、あの時代ドンピシャなんですよ。だから、「こんなお嫁さんが来るわけないよな」と思いながら見てました。

早瀬 ものすごくいいお嫁さんの役なんですよ。家族みんながご飯を食べてる時に、一緒に食べないでお給仕したりして。その時代は、そういうのが〝いいお嫁さん〟だったから。

テリー 今だったら男女平等派に張り倒されちゃうけど。

早瀬 とんでもないですよ。私、10代であの役をやって、「絶対結婚しない」って思ったんです。

テリー あ、そうなの?

早瀬 だって、家族全員分のご飯を用意したのに、自分は食べないで横に座ってて、「お代わり」って言われたら、「はい」って言って、ご飯ついだり。「結婚したらこんなことさせられるんだ」「お嫁さんなんてつまんない」って思ってました。

テリー しかも、それをニコニコしながらね。

早瀬 だから時々反抗してね、洗濯物を畳むシーンで、畳み方がわかりません」とか言ったことがあります(笑)。

テリー アハハハハハ。おもしろいなぁ。

早瀬 でも、その後は「おさな妻」だの「同棲時代」だの出てくるから、あれが理想のお嫁さんの最後だったんでしょうね。

テリー ああ、そうかもしれない。で、いよいよ「おれは男だ!」ですよ。

早瀬 そうですね。

テリー 当時、森田さんとはどんな感じだったんですか。僕らは「きっと仲いいんだろうな」と思いながら見てましたけど。

早瀬 でも健ちゃんがね、何事に対しても全然無骨なタイプだったので。むしろドラマが終わってからの方が、おうちに遊びに行ったり、仲よくなりましたね。

テリー ドラマの時に口説かれたりしなかったんですか。

早瀬 彼、全然そういうタイプじゃないんですよ。

テリー そうですよね。僕も仲いいですけど、絶対そんなことしないタイプですよね。

早瀬 もし口説かれても、私が「どうしたの?」っていう感じになっちゃって、全然そんな雰囲気にならなかったと思います。

テリー 森田さんには今も「吉川君」って呼ばれるんですか。

早瀬 いえ、「久美ちゃん」ですね。で、私は「健ちゃん」。

テリー 当時から?

早瀬 うん、当時から。

テリー あ、そうなんだ。でも、ファンの人からはいまだに「吉川君」って呼ばれるんでしょう? ずっと青春スターだから。

早瀬 健ちゃんと一緒です(笑)。

テリー それは別にいいんですか。

早瀬 もう全然抵抗ないです。「吉川君」って呼ばれるのは慣れてますから。それだけドラマがヒットしてくれたおかげですし、何て呼ばれてもちゃんと返事しますよ。

ゲスト:早瀬久美(はやせ・くみ)1951年、兵庫県生まれ。1966年、「ミス・ジュニア・フラワーコンテスト」入賞をきっかけに松竹入り。同年、「紀の川」で映画デビュー。1968年、ドラマ「お嫁さん」(フジテレビ系)で初主演。1971年、ヒロインの吉川操役で出演したドラマ「おれは男だ!」(日本テレビ系)が大ヒット。その後、結婚を機に一時芸能活動を休業、2002年に復帰。現在は「早瀬久美のあの日をもう一度」(Tokyo Star Radio)にレギュラー出演中。YouTubeの「早瀬久美チャンネル」にて動画配信中。8月より「日刊ゲンダイ」にて連載コラム開始。

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