飲食業界において、ここ数年で大きく市場を伸ばしているのはどこか。それは「ホストクラブ」だ。ホスト関連のニュース記事は多く読まれ、それと同時にホストが関わる事件も増えている。なにかと注目を浴びているのだ。
日本一ホストが多いといわれる新宿には現在、300店以上のホストクラブが軒を連ねる。それも、歌舞伎町の中心地である区役所通り周辺だけでなく、西武新宿駅近くまで拡大しているのだ。歌舞伎町の飲食店関係者が解説する。
「ホストが社会的に注目された、いわゆる『第一次ホストブーム』が起きたのが、2000年代初頭。多くのホストがメディアに出たり、CDデビューまでするなどしました。ところが2006年以降、当時の石原慎太郎都知事による歌舞伎町の環境浄化作戦で深夜営業ができなくなり、ホスト業界は大きく落ち込みました。深夜1時までと日の出営業の二部制になり、それまで来ていた夜職の客が来づらくなったことが要因です」
現在は日の出営業を行うホストクラブは少なくなっており、ほとんどが深夜1時までの営業だが、ホスト市場が伸び続けている理由はどこにあるのか。歌舞伎町飲食店関係者が続ける。
「コロナ禍によって『パパ活女子』が増えたことが大きく影響しています。コロナ禍で落ち込んだキャバクラのホステスや性サービス嬢がパパ活嬢に『転身』し、稼げる額が大きく変わりました。海外に行ったり、立ちんぼになる嬢も増えましたね。キャバクラや性サービス店のように、売り上げの半分を店に持っていかれることもないので、その分、ホストクラブで使える金額が増えたのです」
マッチングアプリの普及により、キャバクラやラウンジなど、ホステスの店は売り上げが落ち込んでいる。だがホストクラブでは、ホストにしかない特別感を味わうことができる。他に取って代わる競合店がないというのも、その理由にあるのだろう。