バスケットボールW杯で男子日本代表は3勝を挙げ、48年ぶりとなる自力での五輪出場権奪取となった。日本中がバスケに熱くなった日々だったが、もちろん突然、強くなったわけではない。
2016年にスタートしたプロリーグ(Bリーグ)の誕生がそのきっかけになった。これを牽引したのが、サッカーJリーグの初代チェアマン(理事長)で日本バスケットボール協会会長などを歴任した川淵三郎氏だった。川淵氏はバスケ復活においても、日本サッカー再生の最後の切り札として行ったJリーグ誕生と同じ手法を使った。Bリーグ発足を協議していた頃、川淵氏は事あるごとにこう力説していた。
「世界で一番盛んなスポーツはサッカー、その次がバスケなんだ。日本でもバスケが盛り上がらない理由が僕には見当たらない。それは信じている」
Bリーグ誕生には年間30億円以上のメーンスポンサーが必要だった。その時に川淵氏が直談判に向かったのはソフトバンクグループの孫正義社長で、
「お会いした翌日にBリーグのスポンサーになることを決めてくれた。そのスピード感には脱帽、ありがたかった」
と話していた。16年には4年120億円、契約更新となった20年にも3年90億でソフトバンクグループが継続してBリーグを支援している。
「コロナ禍でも契約を続けたのは、川淵さんと孫さんの強い信頼関係があるからに他なりません」(関係者)
川淵氏と孫氏が男子バスケを五輪に導いた立役者であることは間違いない。
(小田龍司)