頭が痛いとはまさにこのことだ。8月に開幕するバスケットボールW杯をめぐり、中継局の日本テレビとテレビ朝日スタッフが、表情を曇らせている。日本テレビ関係者が言う。
「地上波テレビ局の懐事情はすこぶる悪いのですが、東京五輪で女子日本代表がメダルを取ったことを機に、両局ともW杯の放映権を取りにいったのです」
もちろん、お目当ては女子ではなく男子。トップ選手に成り上がった八村塁(レイカーズ)の出場だった。
「野球界ならエンゼルスの大谷翔平と同様、八村以外に誰でも分かる著名選手はいません。むしろ八村が国を背負って凱旋帰国、ジャパンのメンバーとして戦うことを見越して、放映権を獲得したのです」(前出・日本テレビ関係者)
ところが八村は6月27日に、日本バスケットボール協会を通じてコメントを発表。「今後の自分のNBAキャリアを考慮」との理由で、欠場を表明したのである。
「両局とも地上波ゴールデンタイムでの生中継を予定し、スポットCMもどんどん流しています。ところが『目玉』がいなくなれば、視聴率は期待できない。あとは実力で男女ともメダル圏内に入れば盛り上がるのでしょうが…」(テレビ朝日関係者)
国の威信を背負って戦った大谷と対照的に、今オフFAで大型契約を結ぶ予定の八村は、どこまでも現実的だった。