Aクラス入りが危うい状況の巨人の主力にまた離脱者が出た。坂本勇人内野手が9月5日、体調不良による特例2023対象選手として出場登録を抹消された。坂本の抹消は今季2度目となる。
この日の試合は5位に低迷するヤクルト相手に4-3と辛勝。原辰徳監督は試合後「いるメンバーでベストで戦うだけですね」と力なく答えていた。
坂本は2006年、高校生ドラフト1巡目で巨人入り。2年目の19歳、松井秀喜氏以来となる10代開幕スタメンとなり、以後15年間、巨人のショートは坂本の「定位置」だった。
「昨季Bクラスの4位で終わった原監督は、坂本にファーストへのコンバートを打診していますが、本人がショートでやりたいと固辞した。坂本は昨年も故障が多かったのですが、原監督も現時点では『ウチの大将なんですから』と坂本推しを続けてはいます」(巨人担当記者)
しかし、今季の巨人の不振の要因の一つは攻守にフル回転できない坂本にある。クライマックスシリーズから逆転優勝を目指してはいるが、それがダメだった場合は紛れもなく戦犯扱いの一人になるだろう。
となると、そんな坂本が「大将」ではいられなくなる日がやってくる。ドラフト4位ルーキー・門脇誠の台頭があるためだ。門脇は高校1年から大学4年まで出場した公式戦116試合をフル出場したタフネスでもある。
巨人のチームNO.1年俸は6億円の坂本。そして門脇は840万円(金額は全て推定)。球界の盟主の座を守り続けきた巨人も、コロナ禍による観客減の影響もあり、2019年には約52億円だったチーム総年俸は昨年、40億円にまで減額した。これまで真夏のドル箱カードだった巨人阪神戦ですら満員にはならなかった。
「3位までに入らなかったら、上(球団フロント)からのプレッシャーは相当ある」
とは球団関係者。坂本は将来の監督候補でもあったが、多くのスキャンダルを連発したことで、
「フロントからの信頼はもちろん薄い」(前出・巨人担当記者)
苦戦が続くシーズンの佳境での「体調不良」による坂本の離脱は、プロとしては自己責任と言っていい。このオフの大幅減俸ばかりではなく、そのまま現役引退する可能性も十分ありうる状況なのだ。
(小田龍司)