中央場所に戻り、秋開催になって2週目。早いものでクラシック第3弾、菊花賞と秋華賞のトライアルレースが東西で行われる。
中山が菊花賞の前哨戦、伝統のセントライト記念で、阪神は秋華賞のそれ。ともに3着馬まで本番の優先出走権が与えられる。
来週行われる神戸新聞杯の距離が2000メートルから2400メートルに改められた07年以降は、そちらにより前評判の高い馬が集うようになり、セントライト記念は少々、その価値を下げた印象はぬぐえない。が、それでもキタサンブラック(15年)や昨年2着のアスクビクターモアなど、ここで勝ち負けして菊花賞を制した馬は少なからず出ている。
とにもかくにも本番を控えて目の離せない重要な前哨戦であることは確かだ。 実際、皐月賞を完勝し、ダービーは2着惜敗だったソールオリエンスが出走してくる。父のキタサンブラックがこのレースを制したことを思うと、順当ならあっさり‥‥そう見られて当然だ。
ダービー以来3カ月半ぶりの実戦になるだけに、多少は余裕残しの状態ではあるが、本番を見据えて下手な競馬はできるわけがなく、しっかりと抜かりなく調整を進められてきた。なので、よもやの敗北は、まず考えにくい。
そもそもこのレースは、過去のデータからも比較的順当に収まっていることがわかる。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は6勝(2着7回)、2番人気馬は3勝(2着5回)。一見、中穴傾向の重賞に思えるが、1、2番人気馬によるワンツー決着は5回もあり、今回のような〝絶対視〟できるような馬が出走してきた際は、堅く収まりやすいとみるべきだろう。 とはいえ当方としては、ハイそうですか、とうなずくわけにはいかない。
前述したように〝最有力馬〟は余裕残しの状態。ならば脚を余して‥‥というシーンも十分考えられる。
そんな足をすくう馬として、シャザーンの一発を狙ってみたい。
こちらもダービー9着以来の実戦になるが、放牧で充電。リフレッシュされ、ここを目標に実にいい感じに仕上がっている。1週前の追い切りもリズミカルだった。
「皐月賞(6着)は道悪で力を出せず。ダービーも他馬に絡まれてスムーズな競馬ができなかった。疲れも取れて、臨戦態勢はきっちり整っている」
友道調教師はこう巻き返しを誓う。
母クイーンズリングは、エリザベス女王杯の勝ち馬で、17年の有馬記念では、キタサンブラックの2着に好走した馬。ここは好勝負必至とみた。
一方のローズSも、ここにきて急成長した馬が多数参戦。馬券的にもおもしろそうだが、イチオシしたいのは、イトカワサクラだ。
函館での1勝クラスを勝ち上がったばかりだが、デビュー戦を飾ったその後の2戦目で、フローラS(オークストライアル)に挑み、勝ち馬とコンマ7秒差の6着に頑張ったほど。能力は間違いなく高い。
前走後はここを目標にしっかりと調整されており、厩舎スタッフは「まだまだよくなっていい馬。ノビシロは十分」と口をそろえている。
3代母のヴァージニアウォーターズは、英1000ギニー(桜花賞に相当)の勝ち馬。強烈な末脚が身上で、チャンス十分とみた。