立ちっぱなしや長時間同じ姿勢を取り続けていると気になるのが足の「むくみ」。加齢とともに起こりやすくなるという。
「むくみ」は、血管やリンパ管の中にある水分が外側にしみ出し、細胞と細胞の間に余分な水分が溜まった状態で、医学的には「浮腫」と呼ばれる。判断方法は、足のすねを指で圧迫する。指で押した跡がへこんだまま、なかなか戻らないようであれば「むくみ」の可能性が高い。
「むくみ」と加齢の関係は、血液の巡りが悪くなることにある。通常、体の不要な水分は、細胞から静脈やリンパ管に戻され、尿として排出される。しかし、加齢によって血液の巡りが悪くなると、細胞に溜まった水分を静脈やリンパ管に戻しきれなくなり、不要な水分が体に溜まり、「むくん」でしまうのだ。
長期化すると、「慢性下肢浮腫」に陥っている可能性が高い。これは、高齢者特有の生活習慣によって引き起こされる。「慢性下肢浮腫」の原因となる生活習慣は、「長時間座りっぱなし」「長時間立ちっぱなし」「歩行時に十分足を動かさない」などである。
何らかの疾患が原因となっている場合と異なり、「慢性下肢浮腫」は検査を行っても何の異常も見られない。「むくみ」が進行し、足がパンパンに腫れ上がったり、強い痛みが生じたりするまで気づかないケースが多く、重症化してしまうと日常生活に支障をきたしてしまうような危険もある。
他にも「むくみ」には、心不全や腎不全などの重大な疾患が隠れているケースもある。
「むくみ」の進行の防止や疾患の早期発見のためにも、症状が数日以上続くようであれば、一度、医療機関を受診してみよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。