その驚きの中身に、衝撃が広がっている。
ジャニーズ事務所が所属タレントと結ぶ「専属契約書」に、驚くべき言葉が記載されているからだ。「週刊現代」が独自入手した契約書は平成時代に活躍した、誰もが知る人気アイドルのものだというのだが、通常の契約書では絶対に目にすることのない単語が並んでいた。
例えば、第2条を見ると、次のように書かれてある。
〈乙は甲に対し、日本を含む全世界を包含する太陽系全域における芸能創作活動のために第三者と交渉・協議する〉
ん、太陽系全域での芸能活動? 確かに目を疑う記述である(甲はジャニーズ事務所、乙はタレントを指している)。
第6条にも、著作権について同じように、
〈乙の芸能創作活動に関連して生ずる著作権法の全ての権利は、日本を含む全世界を包含する太陽系全域において〉
と書かれているというからもう…。住所を聞かれて「大宇宙銀河系太陽系第3惑星地球…」と答えるような感覚、というべきか。冗談なのか真剣なのか、わからなくなってくる。
契約書の「問題点」はこれだけではない。事務所側の権利を明記した条文が多い一方で、タレント側の権利について記した条文はほどんどなく、タレントが事務所を辞めたいと思っても事務所側が話し合いに応じない可能性があること、タレントの自由な移籍を妨げる可能性があるというのである。
また、ギャラに関する記述にも問題があるという。
「一般的に収入を事務所側とタレント側で、例えば5対5とか4対6といった比率で分配されることが多い。衣装代やメイク代といった、10万円程度の経費を差し引いたものを分配することも一般的です。しかしジャニーズ事務所の契約書では、報酬から経費としてまず50%を控除し、残り50%を事務所側とタレント側で等分する形になっている。つまり事務所の取り分は経費を含めて報酬の75%で、タレントの取り分は25%。グループの場合は25%を人数で割る形になるのです。ここまでいくと、事務所による搾取と判断されても仕方ないのでは…」(芸能事務所関係者)
ジャニーズ事務所は今後1年間、広告や番組などで得る出演料は全額タレント本人に支払い、「事務所側は芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と発表した。この契約書の配分はいったん、白紙にするということか。
ジャニーズ事務所は性加害問題の被害者だけでなく、現在所属しているタレントとの向き合い方も考え直す必要があるのかもしれない。
(石見剣)