「昭和の怪物」と呼ばれた元巨人の野球解説者・江川卓氏が、自身のYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】〉を更新(9月18日)し、1987年の日米怪物対決を振り返った。
この年、黒船級の旋風が神宮球場に吹き荒れた。メジャーリーグで通算215本塁打の実績を持つボブ・ホーナーの来日である。
4月13日にヤクルト入団。5月5日、神宮球場での阪神戦、来日3打席目で1号2ランを放つと、続く2戦目では3発。3戦目は敬遠で勝負を避けられたが、広島との第4戦目に2本のソロ本塁打を打ち、4試合で11打数7安打、6本塁打という衝撃的すぎるデビューを飾っている。
神宮球場での6月2日のヤクルト戦で先発マウンドに上がる予定だった江川氏は、事前にホーナーのコメントを新聞記事で読んだ。
「『日本のピッチャーは大したことない』って載ってたんですよ。それでもう、絶対にホーナーから三振を取るしかないと思った」
プライドを懸けて登板した江川氏は3打席連続三振を奪い、「日米怪物対決」を制した。ただし、ホーナーを打ち取ることに全力を注いだことで、
「その時はホーナーだけ。他にいっぱい打たれてる」
6回1/3で降板した江川氏に勝敗はつかず、試合は7-6で巨人が勝利した。
この年のホーナーはどこまで打つのやらと他球団は戦々恐々だったが、故障で規定打席に達することなく、31本塁打で打ち止め(打率3割2分7厘、73打点)。1年限りでアメリカへと帰っていった。
一方、江川氏は9月20日の広島戦で4番・小早川毅彦に2打席連続のホームランを打たれ、ガックリと片膝をマウンドについた。13勝を挙げるも、江川氏はこの年を限りにユニフォームを脱ぐことに。悲喜こもごもの年であった。
(所ひで/ユーチューブライター)