ゆるキャラ人気に押されながらも全国各地に存在するローカル戦隊をご存じだろうか。中でも滋賀県東近江商工会青年部が昨年11月に結成したのは、全員がリーダーを表すレッドのコスチュームを着用。ご当地ヒーローとして注目されているのだ。
熱血リーダーのレッドやクールなブルー、力持ちのイエローと、ゴレンジャーに代表されるヒーロー戦隊モノは世代を超えた人気を誇っている。そこに“便乗”したのが、異色ならぬ単色の(笑)ご当地ヒーロー。その名も「商工戦隊赤レンジャイ」だ。
噂を聞きつけた記者は、10月某日、東近江市内の公民館に駆けつけた。すると、この日集まった「赤レンジャイ」は総勢10名。5人組が一般的な戦隊ヒーローとしては、日本最多かもしれない。
「いやいや、ここに来ていないメンバーを含めて総勢43名ですから、間違いなく日本最多でしょう(笑)」
と、副リーダーを務める小堀久雄さんが言う。当然、「赤レンジャイ」だ。
便宜上、役職としてリーダーや副リーダーを設けてはいるが、コスチュームを脱ぐと会社の経営者や事業所のトップがズラリ。全員がレッドのコスチュームを着用しているのもそれぞれが一国一城の主だということにも理由がありそうだ。
練習会場では、ヒーローには似つかわしくないAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」やアニメ「妖怪ウォッチ」のテーマ曲などに合わせてダンスの練習をしている最中。だが、バック転などアクロバティックなワザはないものの、キレのある動きは、戦隊ヒーローならではと言っていい。しかも、その人気は東近江市内にもすでに浸透。
「10月、11月の日曜日は市内でイベントがめじろ押しですから、毎週集まっては練習しています」(前出・小堀さん)
そんな赤レンジャイの“デビュー”は、13年11月。市内で開かれた「ことうふるさとまつり」でダンスを披露したのが始まり。当初、イベントにはAKB48のようなアイドルのコスプレで出場予定だったが、メンバーの一人が戦隊ヒーローのコスチュームを提案した。
ネットで購入した既製品だが、おでこ部分に商工会を示す「商」の文字と胸には東近江とレッドの頭文字を取った「HR」の手作りワッペンをつけ、現在のコスチュームが誕生した。
「実際に着てみたところ、仲間内で盛り上がったんです。イベント当日は赤色ばかりの戦隊ヒーロー十数人でステージに立ちましたが、これが大ウケでした」(前出・小堀さん)
さらにダンスの特訓を重ねたメンバーは、その後も市内のイベントに参加。行く先々で歓迎され、会場は拍手と喝采に包まれた。
すると、しだいにメンバーの間で「地域の役に立ちたい!」という気持ちが芽生え「地域見守り隊」としての活動も始めることとなった。
今年6月から毎月10日、市内にある14の小学校の通学路に立ち、登校する子供たちに声をかけており、その活動の幅は広がるばかり。
「何しろ全員がレッドですから(笑)、子供たちはドギモを抜かれますね。でも、おもしろがって『おはようございます!』と、元気な挨拶とともにハイタッチをしてくれます」(前出・小堀さん)
さらに、10月からは動画投稿サイト「ユーチューブ」に「月刊赤レンジャイ」の動画をアップしている。フリートークを交えながら、その月のイベントスケジュールを紹介したりと毎月放映する予定だとか。
「全国各地に『青レンジャイ』や『黄レンジャイ』ができたらおもしろいですよね。でも、赤は絶対に譲りませんが(笑)」(前出・小堀さん)
これからも東近江を盛り上げるために頑張れ! 赤レンジャイ!