中国・杭州で開かれるアジア大会が開幕した。日本は初戦でカタールを3-1で破り好スタートを切ったといえる。
アジア大会はオリンピックと同じく、23歳以下のメンバーにOA(オーバーエイジ)枠3名という年齢制限が設けられている。しかし今回は、新型コロナウイルスの影響により開催が1年延期になったことで、東京五輪同様に24歳以下のメンバーにOA枠3名と変更された。
それでも日本は、いつもどおりパリ五輪を目指すU-22日本代表メンバーを派遣し、OA枠を使っていない。しかもU-23アジア杯予選(パリ五輪アジア1次予選)の開催直後ということもあり、本来のメンバーではなく大学生10人を含む別編成で参加している。
このメンバーを見て「日本はU-22のBチームで参加」と言われ、韓国のメディアは「事実上U-22の2軍」と報じた。
しかし、西川潤(サガン鳥栖)、松岡大起(グレミオ)、松村優太(鹿島アントラーズ)などは海外遠征にも選ばれたメンバーで、決して「2軍」ではない。大学生が多いといっても国内のキャンプに招集された経験のある選手ばかりで、戦術的にも問題はない。
あとは選手のモチベーション。パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア杯の開催は来年4月15日~5月3日までカタールで開催されることになっている。この期間での開催はインターナショナルマッチデーではないため、海外組を招集するのは不可能に近い。欧州のリーグは終盤を迎えており、簡単に招集を許可するチームはありえない。
9月に行われたパリ五輪アジア1次予選に選ばれたメンバーのうち、海外組は8名いた。最終予選で招集できない海外組が抜けた穴を埋めるのが、今回のアジア大会に参加している選手たちということ。選手たちにとってこのアジア大会は、大きなアピールの場で、モチベーションが低いわけがない。U-23アジア杯経由パリ五輪。その道が開ける大事な大会になるはずだ。
大岩剛監督は「優勝」を目標に掲げている。ライバルは開催国の中国、そして優勝して兵役免除の恩恵を受けるため、カタールW杯出場選手4名を含むベストメンバーを揃えた韓国か。
いずれにしろ、アジア大会は決して無駄な大会ではない。今回のメンバーの中からパリ五輪出場選手が何人出てくるか。そこに期待したい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。