Aで起きた実例を青島氏に聞いた。
「1時間5000円という客引きの説明で入店したケースでは、1名に2時間で46万920円を請求。その男性は怖くて全額カードで支払ってしまったそうです。別の男性はセット料金3000円で案内されたが、女性が3回転して飲み物を合計15杯、勝手に注文。これにサービス料金が40%も付いて12万8600円になった。これ以外にも謎の罰金名目で加算請求されることもあったそうです」(青島氏)
さらに衝撃的なことも判明した。Bは今年2月に検挙された店が入っていたビルだというが、前歴のある場所でもかまわず、ぼったくり営業が行われているのだ。
「このお店も被害報告が多い。最近では客引きから70分4000円の説明で、1時間弱滞在すると23万9400円の請求。手持ちの4万9000円を支払ったあと、念書を書かされ、その念書を持った顔写真を撮影され、身分証もコピーされたとか」(青島氏)
ぼったくり店員の手口はおよそ決まっている。まず「5000円ポッキリ」などとささやき、客引きが案内する。会計時に店は客引きとは無関係とシラを切り、その値段のことは知らないと主張。「その客引きをここに連れて来い」と客に逆ギレすることさえある。そのうえで「料金はメニュー表に明記してあり、その値段をいくらにするかは店の自由」と明細を叩きながら被害者の心も“叩く”のだ。
「ぼったくりにあわないためには、とにかくキャッチ(客引き)についていって知らない店に行かないこと。これに尽きます。交番での水かけ論を極力防ぐためにも、入店後に怪しいと気づいたら、可能な範囲で店員との会話などを録音したり、動画撮影したりしましょう」(青島氏)
歌舞伎町のいたるところに「客引きは100%ぼったくり」との警告看板があるが、気づかない人のほうが多い。この犯罪をなくすことができるのだろうか。
「私の最終目標は、ぼったくりがなくなるよう現在の条例および警察の対応を変えること。そのためにも被害事例をサイト上に積み重ねて、多くの人に実態を知ってもらいたい。交番での“民事不介入”対応が変わればいいんです。被害者が支払わずに済むようになれば、店は経営できなくなって消滅しますから。店員と思われる人間から嫌がらせの電話やメールもたまに来ますが、これを続けていけば、ぼったくりをなくすことは可能だと思っています」(青島氏)
歌舞伎町には良心的な店も多い。わずかに存在する悪質店のせいで街には危険なイメージが。警察や行政は被害を減らすよう、対応するべきだろう。
※青島氏のサイト「新宿 弁護士青島克行の歌舞伎町ぼったくり被害相談室」では、ぼったくり店の実名と住所が掲載されている。