コマ劇場跡に新名所が誕生し、GWもにぎわうことが予想される新宿・歌舞伎町。だが、この街はいまだ深く棲息するぼったくり店が多数存在するという闇がある。
18日にコマ劇場跡地にオープンした「TOHOシネマズ新宿」は都内最大級のシネコンだ。ビルには等身大ゴジラの顔のオブジェがのぞき、撮影する観光客も多く、同社の広報によれば、
「年間で150万人の来場客を目指している」
と鼻息も荒い。新名所誕生でGWは歌舞伎町に多くの人が訪れるだろう。だが、依然としてこの街には“ぼったくり”の被害が絶えない。警視庁によると、歌舞伎町でのぼったくりに関する通報は今年1~3月で約700件。交番前では、ぼったくり店員と被害客の口論が毎晩のように繰り広げられているのだ。
サイト「歌舞伎町ぼったくり被害相談室」を設ける青島克行弁護士が語る。
「警察は民事不介入で店と客の口論には一切立ち入らず、話し合いで解決するようにとあくまで中立を保つ。それを店側も知っているので、まったく動じずに交番前で延々と高額支払いを請求する。結局、根負けしてお金を払ってしまう客が圧倒的に多い」
交番にたどりついても、警官は助けてくれない。それどころか被害客が支払いを拒否してタクシーで帰ろうとすると、引き止める警官もいたという。
「堂々と氏名住所を明かして『裁判で決着をつける』と店員に言って帰るよう助言しています。身元を明かしても帰してくれないなら、相手の犯罪性(逮捕監禁強要、執拗な請求という条例違反)が強化されるからです。でも、威圧的な態度や口調の店員に身元を明かすのが怖くて、多くの人が支払って決着をつけてしまう」(青島氏)
毎日かかってくる相談電話と、一向に被害が減らない歌舞伎町の現状に、青島氏はある決意を固めた。
「私は現場ではなく電話で相談を受けています。しかし、これは安全圏からのざれ言にすぎないのではと思うようになりました。相談者に戦う姿勢を諭すならば私もリスクを抱えて助言すべきだと思い、自分の責任で店舗名を公開することにしたのです」(青島氏)
青島氏のサイトでは、ぼったくり店舗の実名が事例や日時とともに公開されている。その情報をもとに「歌舞伎町ぼったくり店マップ」を作成。実際に寄せられた相談件数から、危険度を5段階の★印でランクづけした(画像参照)。
地図によると、ぼったくり店が集中する危険地域があることがわかる。特に、「あずま通り」「区役所通り」「花道通り」沿いに店が集中している。注目はA、D、Jとぼったくり店が3軒も入っている雑居ビル。特にAは相談件数が19件と5つ星の危険店。4月16日、Aは検挙されたが、その手口たるや悪質極まりないものだった──。
※青島氏のサイト「新宿 弁護士青島克行の歌舞伎町ぼったくり被害相談室」では、ぼったくり店の実名と住所が掲載されている。