「ミスター・レッズ」と呼ばれ浦和レッズの顔とも言える選手だった福田正博。レッズサポーターにとって福田がつけていた「背番号9」は特別な意味を持っている。その9番を福田から受け継いだのが永井雄一郎で、継承の裏側を那須大亮のYoutubeチャンネルにゲスト出演し明らかにしていた。
9番を受け継ぐまでには紆余曲折があったという。永井はイングランド代表デビッド・ベッカムが好きだったため、背番号7を希望していた。しかし浦和で7をつけていたのは岡野雅行。岡野が神戸に移籍して空いたのでやっと7番をつけることができた。ところが、
「次の年にエジムンドが来るので7番を空けないといけないと言われた」
と7番を手放すことに。浦和がJ2で戦った2000年には11番をつけた。
「チームには初めて『この番号をつけたい』と言って11番をつけることになった。翌年J1に復帰したら、トゥットが11番をつけるからといって勝手に18番になっていた。こういうことを何度も受けている。だから9番を引き継ぐというのもその一環でしょ、という感じだった。9番をつけると福田さんと比べられるし、得点王だし何か言われる。だから『7番でミスターレッズを目指します』と言った」
しかし永井の希望はあっさりと却下され、背番号9を身につけることになるが、
「練習場でサインをしていると、福田さんの時の9番のユニフォームを持ってるファンに『俺はこれだからサインはいらない』って言われる。1回や2回じゃない」
と、はじめは9番がイヤだったいう。しかし結果を出すと少しずつ「永井の9番」を着るファンが増えたという。
「やっと9番として認められたと思ったのは、9番のユニフォームを持ってきた人に『今までは福田さんの9番。永井雄一郎の9番にサインを書いて』と言われた時」
と振り返った。こうして永井は03年から11年まで背番号9をつけ続け「2代目ミスター・レッズ」と呼ばれるまでになった。それだけに浦和レッズの背番号9番は重い。現在、栄光の背番号をつけているのはブライアン・リンセンだが、9番に見合った働きはできているだろうか。
(鈴木誠)