9月に開かれた松本人志の還暦パーティーで最もウケのよかったプレゼントは、鬼越トマホーク・坂井良多が持ってきたものだった。それはプロの格闘家が使う、オープンフィンガーグローブだ。博多華丸・大吉は、
「最初の方で出たんやけど、あれは『やられたぁ』って思った。もうバーンと松本さん喜んで。すぐそれハメて。みんな、松本さんにプレゼントを渡して写真撮るんだけど、ずっと松本さんグローブ着けてて。よっぽど気に入ってるやん。もう、会心の一撃やったよ」
的を射たプレゼントに納得しきりなのである。マヂカルラブリー・野田クリスタルも同様のことを口にする。
「全部プレゼントを見た上で、いちばんハマッてたものがあるんですよ。UFCのオープンフィンガーグローブは、めちゃめちゃハマッてて。もらった瞬間、すぐ開けて着けて『ええやん』って。で、ずっと『これやろうかなぁ、でもなぁ…』みたいなことをずっと言ってる感じ」
実は誕生日プレゼントを持参しなかったコンビがいる。博多華丸・大吉だ。プレゼントを持っていないのに、渡す番が回ってこようとしていた。大吉が回想する。
「もう本当、しょうもないけど、『ハダカでお金渡そう』って。で、還暦で60万円はないけど『6万円なら俺、持ってるから。一応、ポケットに仕込んでるから。最悪、6万でいこう』って言ったら、華丸が『現金とかそういうの、失礼やからダメ』って言って。『じゃあ、どうするん? なしでいくしかない』と」
そうするうち、どんどん状況は悪化する。大吉が続ける。
「ずっと後輩のプレゼントを見てたのね。で、華丸はダメって言ったけど、俺はもう現金しかない。ハダカで6万円がいちばん面白いって思ったから。華丸には内緒で、フライングで出すつもりで。『よし、いくぞ』って思った瞬間に、とろサーモンの久保田が渡したプレゼントが、現金6万円やったの。直前でネタ被って、しかも大スベリした。一応、彼は祝儀袋に入れてたけど。『お前、現金はないわ』みたいに言ってたから、私のポケットの6万円も、その瞬間からもうシワシワですよ」
結局、大吉はどうしたのか。
「準備してませんでした、すみませんでした」
と頭を下げて、
「一応、福岡でいろいろできる券なんかを差し上げたい」
と申し出たが、それもあまり刺さらず。
「そのいくつか前に、オズワルドの伊藤君が『キャバクラ好き放題券』っていうのを渡してたから。好き放題券も被ってて変な感じに。松本さんも怒るに怒れんやん。俺らゴニョゴニョってなったまんま、終わってるんです」
あまり思い出したくない様子の大吉だった。その後、大吉は「このままでは成仏できない」と、会を仕切っていたTBSのプロデューサーに懇願した。
「リベンジさせて下さい。少人数でいいから、華丸・大吉がプレゼントを持っていける時間を下さい」
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作など。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。