元日本代表で現在はJFLのブリオベッカ浦安で指揮を執る都並敏史氏が、監督として大切なことを明かし、「ためになる」「経験者の言葉は重い」と話題だ。
都並氏はヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)でリーグ優勝を経験し、日本代表の不動の左サイドバックとして活躍するなど、選手としては栄光の日々を送った。しかし指導者としては失敗続き。ベガルタ仙台、セレッソ大阪、横浜FCで監督を務めたが、すべて1年以内で解任。監督としての評価は決して高くない。自身で「僕は『名選手、名監督にあらず』だった」と認めている。
しかし、なぜ自分がうまくいかなかったのか、しっかり分析はできているという。元日本代表・鈴木啓太のYouTubeチャンネルでこう話した。
「監督が選手をうまく動かしたら、実際にうまく動くと思っていた。フォーメーションや采配、練習メニューに注力して勉強していたが、選手を人間としてうまく扱うことに努力しないといけなかった」
都並氏は監督の「本当の仕事」を間違えていたのだという。戦術などではなく、人をどう使うのかが大事だと訴えた。それに気づいたこんなエピソードを明かした。
「Jリーグでプレーするような選手は『心技体』が優れている選手だと思っていたが、そうではない選手もいる。特にメンタル。起用を巡ってナイーブになっている選手もいる。例えば35歳で引退間近、奥さんが働いてなくて小学生の子供がいる。すると僕が言ったことに対して『そのとおりです』みたいになって、できることができなくなる。『なんでこうなるの?』ってずっと思っていた。ベテラン監督はそういう選手の扱いがうまく、メンタルをほぐしながらいい状態に持っていける」
監督の本当に仕事がわかってから再び監督をやりたいと思ったという都並氏は、2018年に関東1部リーグに所属するブリオベッカ浦安の監督に就任。先の失敗から学んだことを活かし、昨年、チームをJFL昇格に導いた。目標はJリーグ入り。それを成し遂げて「名選手は名監督」になる日もそれほど遠くないだろう。
(鈴木誠)