東北楽天イーグルスの守護神・松井裕樹が、取得した海外FA権を行使することが決定的となった。今年は59試合で2勝3敗、防御率1.57、39セーブで、最多セーブのタイトルを獲得した。巨人などの国内球団を含めた大争奪戦となる様相だが、メジャー志向が強く、大リーグ球団に軍配が上がりそうだ。メジャー事情を知るスポーツライターが言う。
「奪三振率が高く、落差の大きいフォークと『消える』と言われる曲がりの大きな縦スライダーはアメリカ向きです。あとは滑りやすいメジャーのボールにどれだけアジャストできるかが焦点となる。繊細な投手なので、そのあたりを克服できるかがポイントでしょうね」
今春のWBCで、松井はメジャーで使用される公式球に対応できなかった。壮行試合では2安打3四球4失点と大乱調。1イニングをもたずして降板した。栗山英樹監督の信頼を失い、以降は重要な場面は任されず、本戦は1次ラウンド韓国戦のみの登板に終わっている。だが、スポーツ紙デスクは心配無用だとして、
「WBCでメジャー使用球を経験できたことが財産となります。ナイーブなところはあるけど、同じ過ちを何度も犯す選手ではないので」
アメリカでは慢性的な左投手不足となっていて、松井の契約をめぐっては年俸高騰が予想されている。
「宣言残留も認める楽天は、4年16億円規模の超大型契約を提示して引き留めにかかっていますが、メジャーでは2年12億円から4年20億円近くは提示されるでしょう。あとは大手代理人事務所『WMA』のブライアン・ミニティ氏の腕次第。金銭的には楽天に残るメリットはなさそうです」(前出・スポーツ紙デスク)
妻の女優・石橋杏奈とともに、やはり海の向こうへと渡ることになるのか…。
(田中実)