著名なUFO研究家のハイメ・マウサン氏らが、2体の「ミイラ化した宇宙人の遺体」とする標本をメキシコ議会で公開したのは今年9月のことだが、依然としてその真相は明らかになっていない。考古学者の間では、侃々諤々の議論が続いているという。
公開された2体はいずれも、ペルーのクスコで発見されたもの。細長い頭部を持ち、3本指が特徴で、UFO研究家らは「1000年前の宇宙人のミイラ」であると主張している。
ところで宇宙人そのものではないものの、世界には宇宙人がなんらかの意図を持ってその場所に置いていったとされる「謎のオーパーツ」が実在する。オーパーツとは、その年代や場所にあるはずのない、場違いな人工物を意味する。
そのひとつが、アメリカ・テキサス州のロンドンという町で見つかった、「ロンドン遺物」と呼ばれる「ハンマーの化石」である。世界のオーパーツに詳しい古代研究者が解説する。
「この鉄製ハンマーが発見されたのは1936年で、ヘッドの長さが約6インチ、木製の部分は石と同化していました。これだけなら別にどうということはないのですが、実はハンマーが発見された地層が、オルドビス紀のものだった。オルドビス紀というのは、約4億8830万年前から約4億4370万年前を指すのですが、この時代は地球のほとんどが海だった。したがって、生息していたのはせいぜい巻貝類や魚類などの海で暮らす生物で、哺乳類はおろか、恐竜さえも存在していなかったはずです。なので、ハンマーなど存在するはずがない。そこで、宇宙人が置き忘れていったのか、あるいはなんらかの意図を持って、そこへ置いて行ったオーパーツではないのかと、研究家の間で大騒動になりました」
このハンマーを分析したオハイオ州のベイテル記念研究所によれば、ハンマーには2.6%の塩素が含まれていることが判明。現在の加工技術をもってしても、塩素を含んだ合金を作ることは不可能だ。俄然、宇宙人説に信憑性が帯びていくわけだが、
「むろん、これはオーパーツなどではないと異論を唱える科学者もいます。ハンマーが化石化した理由は、発見された場所の地面が石灰岩でできており、水が流れる谷があったため『コンクリーション』と呼ばれる現象が起こり、酸化した鉄とミネラルが作用して硬い殻を形成した。それがハンマーに含まれていた塩素の謎に違いない、というもの。ただ、5億年も昔の地層になぜそんなハンマーが置かれていたのかは疑問のままで、現在も謎多きオーパーツとして存在感を放っています」(前出・古代研究者)
仮に宇宙人が置いていったのなら、そこにどんなメッセージが込められていたというのか。そしてなぜハンマーだったのか…。
(ジョン・ドゥ)