野球解説者・槙原寛己氏のYouTubeチャンネル〈ミスターパーフェクト槙原〉に、1990年代のヤクルト黄金期を支えた笘篠賢治氏が出演。野村克也監督の辻褄の合わない「バント論」を回顧した。
どんな考えで送りバントに臨んでいるのかと、野村監督から名指しで聞かれた笘篠氏。2つ上の兄・西武の誠治氏を兄に持つ笘篠氏は、
「サード、ファーストに取らせるんじゃなくて、バットの先に当てて投手の前に殺すバント。角度をつけると失敗も多くなる」
西武で徹底していたというバント論を展開したのだった。ところが野村監督は、これをバッサリと斬り捨てて一喝。
「下手クソのくせに何言っとるんじゃ!」
一般的に、守備能力の低い一塁手に捕らせるようにバントをするのだと、野村監督は説いたのだった。
ところが、だ。その年のヤクルトはバント失敗率が高かったことから、1年後に行われたバント講義で、野村監督はこう言ったという。
「バントっちゅうのは、自分のやりやすいスタイルで」
笘篠氏が苦笑する。
「俺、去年言ったじゃん…って思いながら。監督も学ばれたんだと思います。バントはあまりされたことないと思うんで」
ちなみにノムさんの犠打数は通算11。世界の王でさえ12だったことを考えると、やはり少ないといえる。
「とはいえ、ミスターはさらに少なくて、5でした。もっとも、7000打席以上の選手の犠打数を見ると、張本勲、金本知憲、落合博満、新井貴浩が並んで4。小笠原道大は2。タフィー・ローズとアレックス・ラミレスは、なんと0でした」(スポーツライター)
さすがの野村IDも修正を強いられた、バント論であった。
(所ひで/ユーチューブライター)