28年ぶりに五輪に出場し、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を成し遂げたアトランタ五輪(1996年)代表。だが、その裏側では様々なアクシデントが起きていたと言われる。よく知られているのがナイジェリア戦のハーフタイムだ。
前半を0-0で終えた日本代表は引き分けでもグループリーグ突破に大きく前進するが、城彰二と前園真聖、中田英寿の攻撃陣は西野朗監督にもっと攻撃的に行きたいと直訴。西野監督はそれを認めず激怒し、これが原因で次のハンガリー戦のメンバーから中田を外したと言われている。
これは事実なのか。今年8月、前園が自身のYouTubeチャンネルに当時のメンバーだった白井博幸氏、アスルクラロ沼津二所属する伊東輝悦選手をゲストに呼んでトークをした際は、白井氏と伊東選手が「後から知った。揉めたとか言い合いになったという印象はない」と証言。ハーフタイムに大きなトラブルはなかったと明かしている。
しかし、つい先日に前園氏の動画に登場した五輪代表メンバーの田中誠氏と服部年宏氏の意見は少し違うようだ。ボランチのポジションで攻撃陣とディフェンス陣の間に挟まれ苦労したという服部氏は、ハーフタイム終了直前に西野監督と話をしたという。
「前園たち前線の選手がイライラしているのがわかっていて、チームがうまく回ってないと思った。俺はバテて体が動かないし、やられていたので例えば廣長優志を入れたほうが攻撃的にいけると思った。そこでハーフタイムが終わる直前、西野監督に俺を代えてくれないですかと言った。この時、西野監督は怒っていた。『いや、代えない』と言われたのでそのまま出た」
どうやらハーフタイムに西野監督が何らかの理由で怒ったのは間違いない。理由は攻撃陣の進言以外には考えられない。
服部氏から初めてこの話を聞かされた前園氏は、ハーフタイムをこう振り返った。
「俺たち3人はもっと攻めたいので全体で押し上げてほしいと西野さんに言った。でも西野さんはチームとして考えないといけないと。ヒデが次の試合で外れたのはチームとして示しをつけるためだったかもしれない」
田中氏もこの意見に納得し、
「3人のうちで城と前園は外せない。ヒデが外しやすかったのでは」
と当時を振り返った。
中田英寿氏をメンバーから外した理由は西野監督にしかわからないが、やはり懲罰交代だったのか。
(鈴木誠)