一方で、昨季も含め交流戦を制している王者・ソフトバンクの工藤公康監督(53)は余裕しゃくしゃく。現在、パの首位街道を突っ走っていることもあって口調は滑らかだ。報道陣から、
「交流戦が近づいてきましたね」
との質問を受けても、
「ウチは対セ・リーグになってもヨソ行きの野球はしない。ふだんどおりにやれば、負ける気なんてサラサラないですよ。おっと、これは原稿にしないでね」
と失言をするフリをしながらディフェンディング・チャンピオンらしく早くもV宣言を口にしているほどである。スポーツ紙デスクが解説する。
「近年はセ・パの実力格差が広がっているから、よほどの取りこぼしがないかぎり、交流戦期間中のパ上位の大きな順位変動は考えづらい。昨年から1チーム当たり18試合と減ったこともその傾向を強めています」
ただし、同じパでも下位に沈むチームは交流戦対策どころではない。最下位の楽天、同じくBクラスにあえぐ西武では、まさかの「デーブ待望論」が湧き起こっているほど事態は深刻さを増している。
「田邉徳雄監督(50)率いる西武、そして新たに今季から梨田昌孝監督(62)を迎えた楽天は、基本的に“ユルフン”であることが共通していて、失速の大きな原因となっている。実は、両チームの関係者から『まだ大久保(博元)さん(49)がいた頃のほうがマシだった』との声まで飛び出しているほど。結局、こうした悪い状況になった時ほど、1人だけのカラ元気でも大声を張り上げるような人材が必要です。両球団をさまざまなしがらみで退団したデーブが復帰することは考えられませんが、こうしたOBの名前が浮上するほど両チームの現状は厳しい」(パ・リーグ関係者)
セ・パ交流戦は、過去の歴史を振り返ってみても結果が出ていないセ側から「もうやめるべき」との極論も出始めている。しかし、セ・パ各チームの後半戦を占うターニングポイントとなってきたのも事実。はたしてグラウンド内外でどんな展開を迎えるのか。ペナントを左右する、「ガチンコ勝負」の行方に注視したい。