SNSに投稿する写真は加工アプリを使って「盛る」ことが当たり前になっているが、今、徳にZ世代の間では「あえて盛らない」写真を撮影し投稿することがブームとなっている。いったい若者たちにどんな心境の変化があったのか。ITライターが語る。
「盛らないブームの火付け役となったのが、Z世代で大人気となっているSNS『BeReal(ビーリアル)』です。これは1日1回ランダムな時間帯に通知が届き、通知が届いたら2分以内に写真を撮影して投稿しなければならない。加工もできないため、友達同士で共有して互いの素の姿を楽しむといった使い方をされているのですが、今やあの『TiktTok』に迫る勢いで利用者を増やしているんです」
また、最近では「証明写真ボックス」も人気となっている。証明写真は身分証の撮影に使われるものだが、「盛ることできないプリクラ」として利用する若者たちが急増している。SNSに投稿された写真やスマートフォンのカバーに挟んでいる女性を見たことがある人もいるだろう。
なぜ、若者たちは「盛らない」傾向にあるのか。
「理由としては大きく3つあります。コロナ禍で3年間マスク生活が続き、中には高校3年間を教室でもマスクで過ごさざるを得なかった子供も多くいる。そんな中、もっと互いに素顔でコミュニケーションを取りたいと考える若者が増えたことが1つ。2つめは『盛り疲れ』もあるでしょう。写真を撮影するたびに加工アプリを立ち上げ、撮影したものをデコレーションして出来上がった画像はみな同じ顔をしたAIアバターのようですからね。そして3つめは、レトロブームの影響。Z世代の間では空前の昭和レトロ、平成レトロブームが到来していることから、『写ルンです』ようなありのままの姿しか撮れないものに『エモさ』を感じているのではないでしょうか」(フリージャーナリスト)
おじさん、おばさんにとっては盛れないのが当たり前だったが、今の若者たちには「盛れない」ことこそが新しいのかもしれない。
(小林洋三)