声優・一城みゆ希さんが10月24日、多臓器不全のため東京都の病院で亡くなった。74歳だった。テレビアニメ「名探偵コナン」に登場するFBI捜査官のジョディ・スターリング、アニメ番組や洋画の吹き替えなど、様々な声を担当してきた人気声優だが、デビュー時は苦労を強いられた。
1969年に南田聖子名義でレコードデビューを果たすが、売れず。1970年からNHK総合で放送された音楽番組「ステージ101」のオーディションに合格して、レギュラー出演のアイドルグループ「ヤング101」のメンバーに。しかしながら、ここでも芽が出なかったようで…。
YouTubeチャンネル〈みず&とーい〉に一城さんが出演した際のこと(2020年12月19日)。声優の大塚みずえからの質問「(売れるには)正直、運とかありません?」に、こう答えている。
「運というかね、私は華だと思う。生まれ持ったものなの。そうすると運になってくるよね」
「ヤング101」時代、鏡に写る自身の姿に「今日は美しいわ」とウットリすることもできたが、他のメンバーを見ると「あの人、美しいな。私って何なの…」と。また、自分では上手いと思っていた歌も、上には上がいることから落ち込み、そこで番組プロデューサーから「キミは喋りでいきなさい」と進むべき道を示してもらったのだという。
ラジオ放送関係者が回想する。
「一城さんはKBS京都などで放送されたラジオ番組『トヨタ・ミュージック・ネットワーク』のパーソナリティーを、1974年から番組終了の2009年まで担当しました。美しい声色の『お相手は、あなたの一城みゆ希でした』がエンディングのお約束でしたね」
一城さんは自身の声に「華」を見出し、声優の道を歩んだのだった。
(所ひで/ユーチューブライター)