長らく主演俳優の人気のバロメーターとして、記者もお世話になってきた「世帯視聴率」。ところがネット配信の視聴者が増えてきて「リアルタイム視聴率」がアテにならなくなっている。それを象徴しているのが、10月25日(水)22時の世帯視聴率だった。
この日の22時はTBSが「水曜日のダウンタウン」、テレビ朝日は21時スタートの「相棒 season22」の第2話拡大スペシャルが22時9分まで食い込む。そして日本テレビは小池栄子主演ドラマ「コタツがない家」、フジテレビは向井理主演の「パリピ孔明」と、ダウンタウンに今秋の話題作が3作ぶつけられるガチンコ対決。特に「相棒」拡大スペシャルのラスト15分は、杉下右京(水谷豊)が警察幹部に「キレる」驚愕の展開に。
「相棒」を見てしまうと「パリピ孔明」のディーン・フジオカによる冒頭のナレーションを視聴できない。そもそも映画「3丁目の夕日」以降、ダメ男を演じたらこの人の右に出るものはいない吉岡秀隆が売れない漫画家の夫役を演じる「コタツがない家」と、森山未來が「見た目はヤバそうだけど三国志を精読しているクラブのオーナー」になりきっている「パリピ孔明」のどちらかなんて選べない。
5分の長考と苦渋の決断の結果、記者は「コタツがない家」「パリピ孔明」はネット配信を選び、リアルタイム視聴は「相棒」と「水曜日のダウンタウン」を選んだが、どうやら自分と同じく苦悩した視聴者は多いらしい。
翌日発表されたドラマの世帯視聴率は「相棒」が12.8%だったのに対し、「コタツがない家」は6.1%、「パリピ公明」は3.8%だった。これが見逃し配信サービス「TVer」となると、順位は大逆転する。10月27日現在のTVerランキングでは、総合1位が「コタツがない家」、総合3位が「水曜日のダウンタウン」、総合4位が「パリピ孔明」、総合7位が「相棒」と、水曜22時の番組がベスト10の4つを占めていた。
しかもTVerのお気に入りランキング(10月27日現在)では「水曜日のダウンタウン」⇒「パリピ孔明」⇒「相棒」⇒「コタツがない家」と、またまたランキング順位が入れ替わる。広告価値の高いZ世代の支持率では「水曜日のダウンタウン」と「パリピ孔明」が群を抜く。まるで三国志のように勢力図が入れ替わる、熾烈な争いだ。
疲れて重たい体を引きずる「まだ水曜日」の夜、自分だけの「推し」を見つけて、疲れもストレスも吹き飛ばそう。
(那須優子)