10月30日、東京・国立映画アーカイブで開催中の「月岡夢路 井上梅次 100年祭」レセプションのトークショーに大地真央、高橋真梨子、浅丘ルリ子が出演(舘ひろしはビデオメッセージのみ)した。
浅丘は17歳の時、映画出演11作目の「鷲と鷹」(1957年)で、昭和の大スター・石原裕次郎とキスシーンを演じており、メガホンを執ったのは井上氏だった。浅丘は当時をこう振り返った。
「2回目のキスシーンだったんですけども、2回目って自分(プライベート)ではしたことありませんし、映画の中でいちばん最初が長門裕之さんで、二番目が石原裕次郎さんでした。そして…」
そう言うと、井上氏の演技指導を再現した。それは次のような指示だったという。
「ルリ子、目をつぶれ。アゴをもう少し上げろ!」
そして66年が経った今も、
「そういうことだけ覚えてます」
と客席の笑いを誘ったのだった。
浅丘の銀幕デビューは1955年「緑はるかに」。約3000人の主役オーディションの中から主演のルリ子役を射止めた。
「浅丘の本名は、浅井信子。芸名はこのルリ子役に起因しており、『浅』は本名から一文字取った。『丘』は『緑はるかに』からイメージしたようです」(芸能関係者)
この「緑はるかに」の監督も井上氏。裕次郎主演の映画「嵐を呼ぶ男」(1955年)を大ヒットさせ、大スターの地位に押し上げた立役者でもある。
ちなみにこの「嵐を呼ぶ男」、1966年に渡哲也、1983年に近藤真彦でリメイクし、近藤の起用に際しては、再び井上氏がメガホンを執った。これは井上氏の妻で女優の月岡夢路が、あのジャニー喜多川氏と懇意にしていたことから実現に至ったものだ。
(所ひで/ユーチューブライター)