福岡国際センターで11月12日に初日を迎える「大相撲九州場所」へ向けて、大関・貴景勝がエンジンをフル回転させている。福岡県篠栗町の常盤山部屋宿舎での朝稽古で汗を流し、実戦への感覚を養っていく。先場所から2場所連続優勝を目指し、
「今場所も優勝して全勝目指す。いい成績を残したい」
貴景勝は両国国技館での秋場所千秋楽で4度目の優勝を果たしたが、カド番で11勝4敗の成績。21歳の平幕・熱海富士との優勝決定戦では勝ちに徹するあまり、注文相撲をカマして物議を醸した。仕切りでなかなか手をつかず、したたかさを見せて熱海富士を翻弄。動揺させて立ち合いでは左に動き、アタマから捨て身で突っ込んできた若い力士を受け止めることなく、あっさりとハタいて転がした。批判を受けた大関は、
「今場所は今場所で、新しい気持ちでやっていきたい。周りに評価していただけるように頑張る」
と心機一転、真っ向勝負で挑むようだ。
2場所連続優勝となれば、内容次第では横綱昇進への夢が広がる。角界関係者は、
「過去2回の綱取り挑戦はいずれも、ケガで途中休場しました。3度目の正直へ、気合が入っている。アタマを低くしてパワーを乗せた突き押しで圧倒できるか、ですね」
一方的な相撲で潮合いを高めることができるか。
「前半にとりこぼすことなく高いレベルで優勝争いを引っ張って、最終的に賜杯を抱ければ昇進の機運が盛り上がってくるでしょう。古キズのヒザの状態もトレーナーらのおかげで万全だといいますし、期待が持てるのではないですか。メンタル的にも元モデルの妻に支えてもらい、頑丈さが増していますからね」(前出・角界関係者)
1年納めの九州場所で、貴景勝は夢を叶えることはできるか。
(田中実)