阪神が38年ぶりの日本一を決めた日本シリーズの熱が冷めやらぬ裏で、巨人は宮崎で秋季キャンプ(10月14日まで)を行っている。
阿部慎之助新監督は「コンセプトは『くったくったになるまでやる』」と宣言。二軍監督時代は「罰走」を筆頭に昭和時代の猛練習を課し選手からブーイングを浴びたとあって、全体練習を午後1時からに設定し「質と量の両方を求めるからね」などと本人はご満悦だ。
巨人軍の監督という職業はグラウンド以外の仕事が多い。これもまた伝統球団だからこそ。「番記者対策」ものその一つと言える。今も各媒体には「阿部番」がおり、読売系列の媒体なら複数いるのは当たり前だ。
そんななか、10月27日、阿部監督はドラフト1位の中大・西舘勇陽投手の指名あいさつで会見が終わると「僕も20数年前にドラフト1位で入らせていただいて、とてつもないマスコミの方の人数と、申し訳ないけど訳のわからない質問とかで人間不信に陥ったことがあります」と集まった担当記者の面々にいきなりのボディブロー。これには「ちょっと引きました。原さんだったら絶対ありえないコメントでしたから」とある番記者は苦笑いしていた。
原辰徳前監督は番記者たちからの「支持率」が抜群に高く、ある記者などは「携帯電話のカメラで撮ってもポーズを取ってくれて、それを『待ち受け』にしていた記者もいた」と話す。一方の阪神・岡田彰布監督も必ず番記者への取材には応じ、「岡田語」と言われるユニークな発信を連発中。故・星野仙一監督に至っては「お前らもタイガースの一員だ」として番記者と絶妙な距離を保っていた。
実は記者たちの間では、巨人では堀内恒夫氏、高橋由伸氏しかり、番記者とのコミュニケーションが不得手だった監督は「短命」というジンクスもある。チーム関係者の間では早くも「阿部監督はマスコミとの関係で原さんを超えられないよ」との声が囁かれているが、どうなることやら。
(小田龍司)