今年で34回目になるジャパンカップ。競馬先進国・欧米との彼我の差が大きく、当初は外国勢が圧倒的に強かったが、知らぬ間に日本勢の勝ち鞍が増え、今では立場を逆転。過去10年では外国馬の優勝はわずか1回(05年アルカセット)のみというありさまになってしまった。
欧州最高峰の凱旋門賞、北米最大のブリーダーズCが欧米の一流馬にとっては頂点を成すGIであり、またJC後12月に香港で国際GIが行われるため、ローテーションからすれば欧米馬が香港に向かうのは、ごく自然。JCは、その狭間にあって、やや軽く見られるのはやむをえないことなのだろう。
それが外国勢の不振につながっている一因であるのは否定できない。今年は、その外国勢の参戦はわずか3頭。いずれも実績は平凡で、迎え撃つ日本勢が優勢であることは揺るぎなさそうだ。
確かに日本馬は、まさにオールスターと言っていいほどの豪華版である。GI勝ち馬が10頭。それに準ずるデニムアンドルビー(昨年僅差2着)も控えている。とにもかくにも顔ぶれがいい。
なら、有力候補にあがっている日本馬のいずれかから入るのが筋というものだろう。
が、そうはいっても、その有力各馬の力量差に、そう大きな開きはなさそう。難解な一戦と言っていいだろう。
データをひもといてみよう。過去20年を振り返ってわかることは、4歳馬が圧倒的に強く(半分の10頭が優勝)、続いて5歳、3歳馬の順となっている。しかし6歳以上となると、わずか1頭。やはり充実の4歳馬が地力で勝り、伸び盛りの3歳馬、実績を誇る5歳馬が善戦しているという勢力図で見るべきなのが、このJCの馬券戦術の基本のようだ。
そうであれば“最強”である4歳馬に、当方としても期待したい。といっても地力上位と見られる牡馬ではなく、牝馬に賭けてみた。牝馬の活躍が目立つのは世界的傾向のようで、今年トレヴが凱旋門賞連覇を果たし、このJCも目下、牝馬が3連勝している。
ということで最も狙ってみたいのが、前述したデニムアンドルビーだ。
周知のとおり昨年の2着馬。それもメンバー中最速の末脚(33秒2)を発揮して、女傑ジェンティルドンナにハナ差肉薄してのものだった。その昨秋時と比較して陣営は、
「昨年は使いづめで体が細くなっていたし、キャリアが浅く素質だけで走っていた感じ。しかし、たくましくなった今は、まるで別馬」
と、口をそろえる。
むろんのこと状態もいい。休み明けの前走・天皇賞は7着と敗れたが、それでも勝ったスピルバーグとの差はコンマ2秒。
「使われて大幅な良化。馬体が締まって雰囲気が実にいい」
これまた厩舎関係者が口をそろえるところである。
であれば、前走より斤量が1キロ軽くなる今回は、大いに期待できるのではないか。この馬の実績はあらためて語るまでもないが、トゥザヴィクトリー(エ女王杯)を筆頭として近親、一族に活躍馬がズラリといる良血。距離延長は望むところ。主力に推したい。
穴中の穴は、ディサイファだ。天皇賞は12着に敗れたが、リズムに乗れず、言ってみれば消化不良の一戦。コンビを組んだ四位騎手も自分の騎乗を大いに悔やんでいたほどだ。勝ち馬とはコンマ6秒差。目下、出否は五分五分だが、出走してくれば巻き返し可能。
こちらは近親にグラスワンダー(有馬記念連覇)がいる血統馬。「目下絶好調」(小島太調教師)とあれば“一発”があって不思議ない。
◆アサヒ芸能11/25発売(12/4号)より