1着賞金2億5000万円! 国内最高賞金を誇るGI「ジャパンカップ」が今週末、東京競馬場で行われるが、驚くのはそのメンバー。登録のある19頭のうち13頭がGIホース。史上まれに見る超豪華レースを当てるには、まず海外からの刺客を知ることが大事だ。
日本勢10頭がGI馬というだけでも驚きだが、その豪華メンバーに挑む外国勢3頭にしても、GIタイトルをひっ提げての来日だ。東京スポーツのコラム「海外競馬解析」を担当する競馬ライター・秋山響氏は、こう診断する。
「率直に言って、もし私が外国馬の関係者であれば、今年は(招待を)遠慮したくなりますね(笑)。それぐらい日本勢は強いし、海外の評価も高い。ジャスタウェイはワールドベストレースホースランキング(11月9日現在)において130ポンドで首位。この数値は、ほんの一握りのトップホースにしか与えられないものです。ハープスターにしても凱旋門賞レース直後、来年の前売りオッズが表示されるや1番人気でした」
外国馬の優勝は、05年のアルカセット(英国)からとぎれ、3着にしても06年のウィジャボード(英国)が最後だ。11年には凱旋門賞を制したデインドリーム(独)が来日するも、6着と掲示板を外した。
ただ、今年の外国馬3頭は一味違い、物見遊山ではなさそうだ。
「まず、アイルランドのトレーディングレザー(牡4)は、昨年のアイリッシュダービー(GI、芝2400メートル)を史上3番目の好タイムで制しています。陣営は明らかに重馬場を避けて使ってきており、JC参戦も硬い馬場を求めての来日に見え、早くからここを目標にしていたと思います」
脚質は先行。マイル戦では逃げたこともある。
「キレるタイプではなく、ジワジワと伸びてくる。並ばれれば差し返すほど勝負根性が抜群で、直線の長い東京も合っている。前につけられれば、坂上から残り200メートルで、ジェンティルドンナと激しく叩き合うシーンもありそう」
アイヴァンホウ(牡4)は、ドイツ最古の民間牧場(創設1869年)で、独ダービー18勝を誇る名門シュレンダーハンの所属馬。ドイツの最強馬決定戦と言われる「バーデン大賞」(GI、芝2400メートル)の覇者だ。
「今年は、独ダービーを11馬身差で圧勝したシーザムーンが人気を集め、凱旋門賞への壮行レースという雰囲気の中で行われましたが、アイヴァンホウが楽々とかわして優勝。続く凱旋門賞こそ18着と惨敗しましたが、11月の『バイエルン大賞』(GI、芝2400メートル)を制し、左回りの2400メートルで2戦2勝と、JCの舞台はピッタリです」
ただし、その2戦はともに力のいる馬場だったため、東京の軽い馬場への適性が問われそうだ。
「今年の凱旋門賞はハープスター(6着)が33秒台で上がったような速い馬場でした。そこで負けていることもあり、高速決着の馬場への対応が鍵になりそう。当日の馬場状態で取捨を考えたい一頭ですね」
もう1頭、カナダのアップウィズザバーズ(牡4)は、昨年10月、米国の「ジャマイカH」(GI、芝1800メートル)を制している。
「昨年のカナダの年度代表馬です。セールスポイントはキレる末脚です。不安は距離。カナダの3冠最終戦『ブリーダーズS』(G外、芝2400メートル)の覇者とはいえ、内国産馬限定レースで、メンバーが楽だった印象は拭えず、ベストは1800メートルぐらいに映ります」
JC当日、良馬場ならトレーディングレザー、悪くなればアイヴァンホウが馬券圏内に突っ込んできても不思議ではなさそうだ。
◆アサヒ芸能11/25発売(12/4号)より