11月9日、マスコミ各社は「岸田文雄総理が年内の衆院解散・総選挙を見送る意向を固めた」ことを一斉に報じた。ただし、解散するか否かは総理の「専権事項」であり、永田町には「解散時期についての総理のウソだけは許される」との不文律も存在する。したがって、岸田総理が解散見送りを口にしたからといって、年内解散が100%ないとは言い切れない。
しかし、国民から「増税クソメガネ」と揶揄され、支持率が続落している現実を考えると、解散カードを切りうる状況にないのは明らかだ。事実、政権内や自民党内でも「年内解散などできるわけがない」との声が圧倒的多数を占めている。
ならば岸田総理は、いつになれば「伝家の宝刀」を抜くことができるのか。この点について、総理に近い岸田派の有力議員は、苦渋に満ちた表情で次のように話す。
「岸田さんは年明けに召集される通常国会で、2024年度予算が成立した後の来年4月から、自民党総裁の任期が満了する来年9月までのおよそ半年間のいずれかの時期に、解散に打って出たいと考えているようです。しかし、来年9月までに事態が好転する可能性は極めて低い。結局、解散カードを切れない状況がズルズルと続いたあげく、総裁任期満了直前での『追い込まれ解散』ということになっていくでしょう」
だが自民党内からは、その「追い込まれ解散」すら難しい、との声も聞こえてくる。
「岸田総理が最悪とされる『追い込まれ解散』を選択すれば、自民党内で猛烈な『岸田降ろし』が勃発するのは確実です。そうなれば政権も党内も大混乱に陥り、解散どころの話ではなくなる。最終的には、過去の例に倣って『総裁任期の満了とともに総理・総裁を退任』ということになる」(自民党執行部幹部)
解散カードを封じられての強制退任。岸田総理にとって、これほど哀れな末路はない。
(石森巌)