背番号10番を背負い熱いサムライ魂で日本サッカーを牽引した日本代表のラモス瑠偉。仲間を叱咤激励する激しい口調とワイルドな風貌から気が強いイメージがあるが、実は繊細な心の持ち主であることをかつての仲間が明らかにした。
前園真聖氏のYouTubeチャンネルに、元日本代表の吉田光範氏、柱谷哲二氏、福田正博氏、北澤豪氏が出演。「ドーハの悲劇」と呼ばれたイラク戦を振り返った。
柱谷氏によると、W杯出場をかけた1戦を前にしてもチームの雰囲気は悪くなかたったという。ただ1人、ラモスだけは緊張し、
「しゃべらなくなる。マスメディアとも口をきかず、1人でスパイクを磨いている。気になって横に言って『ラモスさん大丈夫?』って」
北澤氏も、
「ビビっていたね。ビビっていたって言い方失礼だけど。あのゾーンに入ったらどうにもならない」
と意外な一面を明かした。
他にもビビリな一面をよく表すエピソードがあるという。ドーハの悲劇の前年の1992年、愛媛で行われたキリンカップの日本対ウェールズ戦でのこと。試合前、理由は明らかではないがナイーブな状態になったラモスが、スパイクを手入れしている最中に手元を誤り、手入れ用具で自分の太ももを刺してしまったという。ラモスは救急車で緊急搬送され、試合には出場できなかった。北澤氏は自傷行為の理由を、
「自分の切った行為というよりも、場の空気とか色々な巡り合わせが悪いと(ラモスが)自分で感じていた」
と推測した。これに福田氏も「すごい繊細」と同意。どうやらラモスがナイーブであるのは間違いないようだ。
ラモスのパスは風貌と違い受け手に優しいとよく言われたが、理由はそんな繊細さにあるのかもしれない。
(鈴木誠)