日本シリーズ終了後も日米野球や巨人・阪神OB戦で球界が盛り上がる中、来季に向けて着々と「動き」を見せている球団や選手たち。セ・パそれぞれの「目玉」を巡る思惑と暗闘の舞台裏をスッパ抜く!
思えば12年末の引退会見直後から、コトは動いていた。巨人・白石興二郎オーナー(68)や渡辺恒雄最高顧問(88)らが松井秀喜氏(40)に対し、「ぜひ次期監督に」とラブコールを送り始めたのだ。
年が明けてからも、渡辺氏は攻勢を強める。いわく、
「原君のあとすぐっていうのがいないんだよ。原君はまだやるけど、そのあとは松井君が最適だよね。まずは(原監督の下で)ヘッドコーチなんかをやって。(松井氏が)帰ってきたら会うから。会って頼む」
13年5月5日に行われた東京ドームでの国民栄誉賞表彰式の際には渡辺氏が表彰式のために一時帰国した松井氏に会って入閣を打診する意向を表明。後日、「将来の話をしたのか」との報道陣の問いに「何もしないということがありうるか」と答えたものだった。
その後も、8月に一時帰国した松井氏と会食した原辰徳監督(56)が、指導者としての経験談を話している。
今年に入ってからは、1月10日に松井氏が読売新聞社を訪ね、渡辺氏、長嶋茂雄終身名誉監督(78)、白石オーナーと会談。ここでも「巨人軍は両手を開いて待っている」と、変わらぬ気持ちを直に伝えたという。
そして2月。春季キャンプには「松井臨時打撃コーチ」の姿があった。「コーチ⇒監督」就任への伏線はもう十分すぎるほどである。
そんな中、10月25日、巨人は高橋由伸(39)が来季、打撃コーチを兼任すると発表した。松井氏と同時に、渡辺会長がかねてから将来の幹部候補生だと公言する生え抜きのスターである。球団関係者が明かす。
「実はCS前、巨人は松井氏に対し極秘裏に、次期監督就任含みの来季コーチ入閣の『正式オファー』を出しました。過去の会談の席での話は正式なものではなく、あくまで巨人サイドの熱意を伝えたもの。松井氏も『将来、そういう機会があれば考えたい』と曖昧な返答をしていました。ところが、今回はハッキリと断っています。この結果を受けて、巨人は高橋へと切り替えることを余儀なくされ、兼任コーチ就任を打診したわけです」
スライド登板的にコーチの席を用意された高橋にしても、心境は複雑だったという。