地方選挙で自民党が負け続けている。各選挙区の個別事情があるにせよ、党内からは「この内閣支持率では、勝てと言われてもやりようがない」のひと言。ついに岸田おろしが始まるのか。全国紙政治部デスクは、
「まだ麻生太郎副総裁と菅義偉前総理の考えが一致していない。二人の足並みが揃った時、一気に岸田おろしが始まります」
今臨時国会が終了した年明けがキナ臭いが、それを見通して、岸田文雄総理は年明け解散を行う勇気があるか。
11月13日、日経新聞、朝日新聞などで、自民党の地方での苦戦ぶりが一斉に報じられた。日経ネット版では〈政権逆風、自民が地方選で苦戦 福島・宮城で過半数割れ〉。岩手、宮城、福島の東北3県の県議選はこの秋に行われたが、11月12日投開票の福島県議選は全58議席中、自民党が29議席と、8年ぶりに単独過半数を割った。日経は〈各地での地方選敗北が続けば自民党内での不安が増幅するリスクがある〉と結論づけている。自民党衆院議員のベテラン秘書が言う。
「地方選で負け続け、政局になったケースも過去にはあります」
2021年、当時の菅総理は都議選で惨敗。直後の横浜市長選で直系候補が負け、退陣せざるをえない状況に追い込まれた。前出の政治部デスクは「麻生副総裁次第でしょう」と話す。
ここにきて菅元総理の動きが慌ただしい。かねてから力を入れていた「ライドシェア」の規制緩和への布石を打つ中で、政権復帰に向けた足固めを行っている。関係の深い委員が多い政府の規制改革会議に提言を出させ、小泉進次郎衆院議員に超党派の勉強会を立ち上げさせた。来年の総裁選では河野太郎デジタル相を担ぐ腹づもりだが、「中継ぎ」として再登板することには意欲的だという。
これに「待った」をかけるのが、麻生副総裁。麻生氏は次期衆院選に出馬するか微妙なだけに、「世代交代に反することはしない」と、菅再登板には乗り気ではない。岸田総理の後見人として麻生派、岸田派、茂木派にニラミを利かせており、「そろそろだ」と考えたら決断は早い。前出の政治部デスクがその心情を明かす。
「財務省に踊らされて減税を決めるなど、肝心なところで相談に来ない岸田総理に不満を持っています。現状では来年の総裁選で岸田総理は勝てない。それまでどういうシナリオを描くか。政局の中心には麻生副総裁がいます」
岸田総理をおろし、茂木敏充幹事長、石破茂元幹事長を据えて解散するか。あるいは乗り気でないにしても、安定感のある菅再登板で話をつけるか。いずれも麻生氏の胸ひとつ。ただ座して死すわけにいかない状況ともなれば、岸田総理は「年明け解散」を仕掛けるしかない。
(健田ミナミ)