11月17日に報じられた、シンガーソングライター・KANの、61歳での急死。死因は明らかにされていないが、今年3月18日に「メッケル憩室ガン」と診断されたことを公表し、治療のため4月からのツアーを中止していた。
1987年に「テレビの中に」でデビューし、1990年に発表した「愛は勝つ」が、売り上げ200万枚超えの大ヒット。同年末には「紅白歌合戦」に出場して、大ブレイクを果たした。音楽関係者が回想する。
「『愛は勝つ』がヒットしすぎたために、世間では『一発屋』のイメージを持たれがちですが、全くそんなことはない。『まゆみ』は18万枚を売り上げていますし、『イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ』『プロポーズ』も15万枚を超えている。やまだかつてないWinkに提供した『さよならだけどさよならじゃない』も、26万枚のヒットを記録しています」
売り上げだけでは測れない、絶大な影響力もあったと、この音楽関係者はさらに言う。
「彼の影響を受けたというアーティストは非常に多く、Mr.Childrenの桜井和寿、スピッツの草野マサムネ、aiko、平井堅、スキマスイッチらがファンだと公言している。彼の楽曲が音楽業界に与えたインパクトは計り知れません」
中でもミスチル桜井は心酔するあまり、「パクリ曲」まで作ってしまったという。
「ミスチルの人気曲『Over』のメロディーラインは、KANさんの『言えずのI LOVE YOU』と驚くほどソックリなんです。実際に桜井自身が『パクリ』を認めていて、『over』制作時の仮タイトルからして『ツービートでKAN』。パクリというよりはオマージュと言った方が正確かもしれません。その後、両者はユニットを結成して活動するなど、強固な師弟関係を築いていました」(レコード会社関係者)
名実ともに「J-POPの父」であった。
(川瀬大輔)