「長男、次男って言い方するとね、『お前、ほかにも長男いるだろ』って言われることもたくさんあります。分かってますよ、そんなこと、言われなくても。忘れたことは1日も、当たり前ですけど、ないです。『パパはこういう人生を歩んできて』と、物心がついた時にきっちりと説明したいと思っています。何も包み隠すことなく、潔く生きていきたいと思ってます」
11月13日、次男の夏幹くんが初お目見えする東京・歌舞伎座「十二月大歌舞伎」の記者会見で、元妻である故・竹内結子との「長男」について、公の場で初めてそう語った中村獅童。獅童には現在の妻との間に2人の息子がいるが、2005年に結婚した竹内との間にもうひとり、その年の11月に誕生した息子がいることはよく知られる話だ。
しかし翌2006年7月、獅童が飲酒運転による信号無視で検挙され、助手席にいたのが元カノとされる女優・岡本綾だったことが発覚し、竹内が息子を連れて自宅を出る。そして親権をめぐり、泥沼の離婚協議がスタートしたのである。
歌舞伎役者である獅童にとって長男は大切な後継者だが、親権をめぐる協議は平行線をたどるばかり。そんな最中の2007年3月29日、映画「サイドカーに犬」の完成披露記者会見に臨んだ竹内は、作品に自身の心境をなぞらえて、
「個人的にも色々ありまして…。(自分の人生は)切り開かなきゃ、という気持ちはあります。年齢的にも大人だし、責任をもって目標に向かって突き進んでいきたいです」
そう語る彼女の言葉に、強い意志を感じたのである。
冷え切った2人の関係にピリオドが打たれ、正式に離婚が成立したのが、2008年2月29日。離婚後、初めての公の場となるオムニバス映画「R246 STORY」の記者会見(3月12日)に臨んだ獅童は、会見後の写真撮影で「お子さんとはお会いできないままですか」の質問に、耳に手をやり「ナンですか」の素振りで苦笑い。だが、その引きつったような表情は苦渋に満ちており、これ以降、獅童が公の場で竹内や、彼女との長男について語ることはなかった。
そんな記者会見から15年。お互い別々の道を歩んでいく中、竹内は不遇の死を遂げた。その後、一部週刊誌の取材に応じた獅童が「長男を引き取りたい、と語った」との報道もあったのだが…。今回の会見では、次男の手に障害があることを告白した獅童。
「自分から歌舞伎の道に進みたいと言った。舞台に立つと(手の状態が)見えてしまいますから、包み隠さず正直にお話しするべきだと思いました。お話しするのは、これが最初で最後です。かわいそうとか同情とかしてほしくない」
文字通り、芝居を地で行くような波乱万丈の半生。3人の子供たちは、この父の背中をどんな思いで見つめているのか。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。