二度あることは三度あるのか。はたまた、三度目の正直か。今オフの巨人のFA戦略のことである。
2年連続Bクラスに終わったことで、原辰徳前監督が退任。阿部慎之助新政権でペナント奪回を目指す中、11月に2件のトレードを成立させるなど、積極的な戦力補強に乗り出している。
巨人は近年、左投げの先発投手不足に悩まされている。今季もグリフィンの6勝が最多だった。それだけに、自身初の2桁勝利となる11勝(5敗)を挙げ、防御率3.25の成績でリーグ3連覇に貢献したオリックスの山崎福也は、ノドから手が出るほど欲しい存在といえる。
その山崎が国内FA権を行使したことで早速、阿部監督自ら出馬。4年以上の長期契約で、総額10億円程度の大型契約を提示した。とはいえ、ヤクルト、DeNA、ソフトバンク、日本ハム、さらにオリックスも含めた6球団による大争奪戦となっており、獲得できるかどうかは不透明だ。
そこで、だ。実は巨人が狙っている左投手が、もうひとりいるという。スポーツ紙遊軍記者は、
「ズバリ、国内FA権を行使した、DeNAの石田健大投手です」
石田は今季、5年ぶり3度目の開幕投手を務めたが、最終的には4勝9敗、防御率3.97と成績はいまひとつ。だが、貴重な左腕であることから、
「(DeNAから)残留オファーをいただきましたが、他球団の評価も聞いて、悔いのない選択をしたい」
と話すなど、移籍も視野に入れている。
石田は人的補償のない、Cランクの投手。阿部巨人にとっては魅力的だが、球団OBからはこんな声が。
「横浜からは梶谷隆幸や、すでに引退した井納翔一を獲得して失敗したことを忘れたのか」
前出の遊軍記者が指摘する。
「巨人とはチームカラーが違いすぎますからね。巨人はDeNAより注目度が高い上、外様には厳しい目が向けられる。アットホームでノビノビやってきたDeNAの選手には、マッチしづらいでしょうね」
阪神はFAに頼らず自前で選手を育成し、38年ぶりの日本一に輝いた。岡田彰布監督の爪の垢でも煎じてほしいものだ。
(阿部勝彦)