「バンドマンと女は一体」
「女にモテなきゃ、バンドマンなんてやる意味がない」
常々、そう公言しているのは、エド山口である。ミュージシャンであり、俳優であり、DJであり、お笑い芸人であり、芸能界一の釣り人であり、そしてモト冬樹のアニキでもある人物だ。
今、「タブレット純の日本芸能イジン伝・その① おひとりさま芸能人 エド山口に訊く!」(山中企画)なる本が、ごく一部の世界で話題になっているという。著者のタブレット純は、ムード歌謡の歌手にしてお笑いモノマネ芸人。昭和歌謡のマニアだ。
あれこれと手を出して結局、どのジャンルにもハマらない「おひとりさま」。それがエドなのだという。
さて、冒頭のセリフを体現するかのごとく、エドの女性遍歴は筋金入りだ。同棲5回、半同棲3回、結婚2回。付き合った女性は数知れず。本人曰く、
「中二で住み込みの看護婦の部屋、夜這いにいってたからね」
とんでもない男だ。
せっかく入学した和光大学をアッサリやめたのも、応援団との女性トラブルが原因だ。カノジョを取った取らないで6人に囲まれ、殴られてアバラを折られてしまう。大学側が騒ぎが大きくなるのを恐れ、エドを成城大学に転校させてしまったらしいのだが、バンドをやりたくて、そこもさっさと中退。
弟のモトをバンドに引っ張り込んだ時は、その責任もあって家にはいづらく、銀座のミニクラブの女性の、青山一丁目の部屋に転がり込んだとか。その女性、なんとある有名俳優にプロポーズされたくらいの上玉だったらしいのだが、ステージ用の衣装から靴から、みんな、彼女に払ってもらっていた。
「要するに、ヒモ」
と、エド本人もあっけらかんと語る。
「バンドマンなら女の子ナンパできなきゃ。車も持ってなきゃいけない。女がいないと。常にいないとね」
もうこれは、エドにとっての人生哲学になっている。ちなみにエドの「ヒモ体験」は、これだけにとどまらない。モトやグッチ裕三とのバンドを離れた後もしばらく、別の女性のところでヒモ暮らし。
「相手は8つ上のオバサンでさ、婚約していた人が交通事故で死んじゃって、一緒にいる間に女としての絶頂を味わえなかったらしいんだな」
おカネはたっぷりもっていたといい、テーブルの下から「お小遣いよ」なんて10万円もくれるわ、貯金通帳までもらって、2泊で山中湖に行くとまた10万円くれるわ。さらに一緒に映画を見に行くと5万円。それで「私があげたおカネ、全部使っちゃったでしょ」と、エドが銀座のミニクラブで使い果たしたことが、とっくにバレていた。
さすがにこんな暮らしをしていちゃ人間ダメになる、と1年で切り上げたらしいが。
女性ばかりではない。同性嗜好の男性ともいろいろあった。1回目はまだ、モトたちとバンドをやってる時のことだ。夜中、車で新宿から明治通りを走っていたら、タクシーに乗っていた黒ブチのメガネをかけた男が、
「おにーさん、どこいくの? 乗っけてって」
なんて声をかけてくる。「いいよ」って乗っけてあげると、一緒に大塚の連れ込み宿へ。すると部屋でいきなりキスをされ、なぜか口が血だらけになっていた。なんとその男はヒドい歯槽膿漏。こりゃタマらんと、靴を持って慌てて逃げ出したのだった。
2回目は同じ年の冬。明け方、当時付き合っていた女性を送った帰りに渋谷の交差点で、白いワンピースの女が歩いてるのを見かけたエド。「送ってくよ」と乗せたら、相手は男だった。
「お兄さん、優しいのね」
「アレ、取った?」
「まだついてる」
「あ、そう」
と会話が弾み、相手は「やったげる」ってチャックを下ろし始める。
「やめろ、オレはそういうのは苦手」
断って代わりに向こうのをコスッたら…エドの方がイカせてしまったという。ホントか。
さらにもう1回。新宿駅でブルーのレインコートを着たバツグンの美女がいたので、つい日暮里まで付いていった。するとこれが「11PM」のソノ筋の大会で3位に入ったくらいのスゴ玉だった。それからしばらく、「彼女」とはよく新宿の喫茶店で会ったりしたらしい。
もう若い頃は男女見境なし、だったのかもしれない。しかし、現在の妻(元アイドルで「ルフラン」などのヒット曲もある井上望さん)と2度目の結婚をしてからは「女性関係は全て絶った」と本人は言う。真相は闇の中だが。