三浦DeNAの補強戦略に、球団OBから不安の声がさらに大きくなっている。DeNAはこれまで前ソフトバンクの森唯斗、前オリックスの中川颯を獲得。前巨人の堀岡隼人とは育成契約を結んだが、3人はいずれも戦力外通告を受けた選手。これ以外に目立った補強をしていない。
貴重な左腕の今永昇太がポスティングでのメジャーリーグ移籍を目指し、トレバー・バウアーの去就は不透明。石田健大もFA権を行使し、ヤクルトなどと交渉を開始している。手をこまねいていれば、来季は今季の勝ち星から20勝分以上減る計算になる。だが、スポーツ紙ベテラン遊軍記者によれば、
「積極的に投手補強に乗り出す気配がない」
そんな現状に、さる球団OBは疑問の声を投げかけるのだ。
「今年の阪神を見てもわかるように、野球の基本は投手。それが何人もいなくなるかもしれないのに、このままでは非常にまずい状況になる。ドラフト1位は即戦力投手ではなく、社会人外野手の度会隆輝だしね」
しかも今回、ソフトバンクから戦力外通告を受けた九鬼隆平捕手を追加で獲得、12月6日に育成契約を結んだ。球団OBは続けて、
「今季のDeNAは捕手を戸柱恭孝、伊藤光、山本祐大の3人で回しており、2022年にドラフト1位で獲得した松尾汐恩もいる。確かに捕手が一人前になるには時間がかかるが、支配下選手枠の問題もある。捕手獲得は優先事項ではないはずだろう」
前出のベテラン遊軍記者も、次のように不安要素を挙げる。
「今季、東克樹が16勝を挙げて大化けしましたが、2年連続で活躍する保証はない。相手に研究されることは間違いない」
バウアーのような日本野球に適応できる外国人投手を獲得できれば、穴は埋まるかもしれないが、来日してみなければわからないのが実情だ。
「他球団は積極的に補強しているのに、このままでは1998年以来の優勝どころか、Bクラス転落もありうる」(前出・球団OB)
阪神が今季、リーグ優勝を果たしたことで、DeNAは日本で最もリーグ優勝から遠ざかっているプロ野球球団になった。このままならその記録を更新しかねない。
(阿部勝彦)