今度は、ジャーナリストの青木理氏に見解を問うと、
「私は政治記者でないので、一般的なところからの発言ということになりますが、現在、臨時国会が開催中ですが、6月に閉会した通常国会について、私は『戦後最悪の国会』だったのではないかと思っています。私は、安倍政権時代は〝悪夢〟のような時代だったと思っていますが、それを超えるレベルです。昨年末に安全保障での『防衛3文書』の改定を行い、23~27年の5年度の防衛費の総額を43兆円にし、新たに14.6兆円が必要だということになりました。だから岸田政権ではこの財源を確保するための特別措置法を成立させることを最重要課題として臨み、これを成立させたわけです。ですが、そもそもこの国には軍拡で43兆円ものお金を使えるほどの余力があると思っているのでしょうか」
もはや、舌鋒鋭い岸田批判は止まらない。
「また3.11のせめてもの教訓だった、原発の再稼働も容認。核に関しては、唯一の戦争被爆国でありながら、いまだに核兵器禁止条約への不参加を堅持したままです。安倍政権と菅政権の評価は別として、ハト派である宏池会の首相が安倍・菅政権よりタカ派なことをやっているんですから、中身が空っぽ。現実主義というより、現実追認主義というか」
また青木氏と言えば、安倍寛・晋太郎・晋三の「安倍三代」のルポを著したことで知られる。どうしたって「世襲」批判は避けては通れない。
「岸田さんも3世でしょう。だから庶民感覚がわからないから支持率にもつながらないということになるんでしょうけれど。結局は地盤・看板・鞄の3つを受け継いで、ましてや4世に引き継ごうとしたわけでしょう。だからこのこと自体が目的になってしまって、そんな既得権益者がみずからの既得権を壊すようなマネはしないわけですから。安倍さんは私が取材した父系の血筋でない母方の祖父の岸信介の功績を輝かせようとして一族政治を行ったわけですが、岸田さんはどうか。一見して穏健さでは安倍さんとは対照的な人ですが、本質的なところでは一緒ということなんでしょう」
「検討使」「増税メガネ」と好ましからぬアダ名を命名され、それでも総理の座にしがみつけば「岸田負のレガシー」はさらに積み上がっていくだけ。1日も早いご退場こそが国民の幸せというものだ。