第20代監督として新たに巨人の指揮を執る阿部慎之助監督だが、できれば触れてほしくない過去が2つある、といわれている。そのひとつは高校受験の失敗だ。
阿部監督は中央大学を経て巨人に入団したが、出身高校は東京の安田学園。都内では名前の知られた学校ではあるが、こと野球に関しては、それほどの強豪校というわけではない。これまでの甲子園出場は、2013年に創部85年目での「第85回記念選高校野球大会」のわずか1回のみだ。
阿部監督の父である東司さんは、千葉県にある習志野高校OBで、ミスタータイガース・掛布雅之氏とは同級生。ともに甲子園出場を果たしているチームメートだ。当然、阿部監督も父の背中を追い、習志野高校志望だったと思われがちだが、当時の第1志望は日大鶴ヶ丘高校だったという。日大鶴ヶ丘は通称・日鶴(にっつる)と呼ばれ、甲子園にも何度か出場しているが、偏差値は高く、簡単に入学できる高校ではない。
阿部監督は受験の際、その高い壁に阻まれて失敗。急きょ、二次募集で安田学園に入学したという。そのコンプレックスもあり、阿部監督は今でも高校時代の話をしたがらない。
さらに阿部監督は父親の影響もあり、熱烈な掛布ファン、阪神ファンだった過去を持つ。その感情は根強く、引退発表後の2019年9月24日の阪神戦(甲子園)の9回に代打で登場した際、一塁側や右翼席の阪神ファンから総立ちで拍手と歓声を送られたことに「本当に感激しました」と語り、敵地にもかかわらず、涙を流している。
高校受験の失敗、そして敵地での涙。名門・巨人の監督としては、封印したいエピソードなのだ。
(阿部勝彦)