巨人が今季まで阪神に所属した助っ人、カイル・ケラー投手との契約合意を発表した。
すでにこのオフ、阪神からは現役ドラフトで馬場皐輔投手を獲得しており、ライバル阪神に在籍した選手を翌年に巨人が2人も補強するのは2リーグ制になって以降初めて。
「38年ぶりに日本一となった阪神からの獲得は、巨人にとってまさに『禁断の補強』に手をつけたといえます。阪神で2季目だったケラーは今季、中継ぎとして11試合連続無失点中だった8月に家族の病気のために帰国しました。巨人はそのケラーに6試合無失点と完璧に抑えれており、確実に活躍できる『保証』がある。ただ、そんな独自の補強ができない巨人のフロントは『いったい何をしていたのか?』と他球団から言われても仕方ありません」(夕刊紙巨人担当記者)
かつて巨人といえばFA補強などまさに朝飯前だったが、今季オリックスからFA宣言をしていた山﨑福也投手を獲りにいったものの、あっさりとフラれている。
「巨人は確実に獲れると思っていたはず。何しろ山﨑の父(章弘さん)は巨人でプレー(1979年ドラフト2位入団)したこともある選手でしたからね。その結果、阿部慎之助監督まで出馬しても獲得できなかった」(スポーツ紙巨人担当記者)
今季、逆転負けが30試合もあり救援防御率3.81でリーグ最下位の巨人にとって、投手陣の補強は急務。そんな中で山﨑が選んだ日本ハムは4年総額8億円という条件を出していたが、
「ここ数年、巨人はFAに参戦しても金銭的に大盤振る舞いをすることがなくなった。理由は親会社の読売新聞の発行部数減にあります。グループ本社の渡辺恒雄主筆はオーナー時代(1996年12月~2004年8月)、『巨人軍は発行部数が世界一の1000万部の読売新聞が支えている』とよく豪語していましたが、新聞不況の今は700万部にまで落ち込んでいる。選手の間で巨人ブランドの価値も落ちたうえ、もう選手をカネでは釣れない状況なんです」(前出・夕刊紙巨人担当記者)
カネに糸目をつけられなくなった巨人が背に腹は代えられないと獲得したのが、阪神からの2投手だったというわけだ。
(小田龍司)