今年8月、アメリカ国防総省が未確認飛行物体(UFO)を含む、正体不明の飛行物体に関する情報を一括して公開するウェブサイトを創設。これはかねてからアメリカ議会に対し、安全保障上の観点からUFO関連の情報開示を求める声が高まったことを受けたものだ。
このサイトに掲載された報告書によれば、1996年から2023年は西日本から中国西部にかけての地域でUFOの目撃情報が多く、日本が「ホットスポット」に分類されたとして大きな話題になった。UFOの目撃情報に詳しい研究家が語る。
「とはいえ通常、UFO目撃談というのは一部の地域、あるいは少人数によるものが大半で、不特定多数が目撃することは珍しいんです。そんな中にあって、ある時は同時に数百人が数回にわたって目撃するなど、延べ1万3000件を超える目撃情報が寄せられたケースがある。それが1989年11月から1990年4月までの間に、ベルギー上空に頻発して出現した三角型UFOによる『ベルギーUFOウェーブ事件』です」
目撃者には警察や軍関係者のほか、科学者も含まれており、1990年3月30日の深夜2時には、空軍に第一報が入る。地上レーダーでも識別不能の物体が多数確認されたことで、F16戦闘機2機が緊急出動する騒ぎに発展した。ところが戦闘機がミサイルによる撃墜を試みた瞬間、謎の物体は忽然と姿を消してしまったという。先の研究家が言う。
「ベルギー空軍のミサイルが自動追尾のロックオンをするためにかかる時間は、わずか6秒。その間に標的から逃れるためには急加速する必要があり、パイロットにかかる重力は40Gを超えるといわれます。人間なら当然、粉々になっているはずです。その後も戦闘機は再び未確認飛行物体の姿をレーダーで捉えたものの、急加速され、見失ってしまった」
なお、この日は未明までの間にさらに2度の緊急発進があったが、同様に逃げられてしまったことが、のちに空軍が提出した報告書に記されている。
「市民による目撃情報の中には円盤型や球型、菱型などがあります。低いエンジン音が聞こえ、タービンが付いたところから棒状のものが見えた、との報告も。UFOではなくヘリではないのか、との説が出たのです。F16のレーダーが追跡した物体も、ロケットや人工衛星の残骸ではないのか、という指摘がありました。しかしいかんせん、あまりにも目撃談の数が多すぎる。空軍が追跡した物体は、米軍が持つステルス機の性能をはるかに超えていたとされ、今もってその正体は謎です」(軍事ジャーナリスト)
実はこの三角型UFOはベルギーだけでなく、ドイツやオランダ、ポーランドでも軍のレーダーに捉えられ、大騒ぎになった。日本が「ホットスポット」である以上、いつか同様の現象が起こる可能性は否定できない。
(ジョン・ドゥ)