米NBCテレビが12月20日、中国の習近平国家主席が、11月に米カリフォルニア州でのバイデン大統領との首脳会談で、時期は未定としながらも「台湾を統一する」と明言していたことを報じた。
中国といえば12月に入り、軍のシンクタンク軍事科学院の何雷・元副院長(中将)が共同通信のインタビューに応じ、沖縄県・尖閣諸島を巡り「戦争を望まないが恐れない」などと発言。さらに台湾を武力により統一する場合、尖閣奪取も同時に行う可能性も匂わせた。軍関係者の異例の発言は日本国内で物議を醸し、日本の保守系議員も鼻息荒くこう話す。
「いよいよ中国が本音をさらけ出してきたという印象。台湾統一と同時の尖閣奪取は、長い間練りに練ったうえでの規定路線だろう」
こうした中国の露骨な発信の真意はどこにあるのか。一つはやはり、来年1月13日に実施される台湾総統選が絡んでいる。
総統選に立候補しているのは、親米路線の与党で民進党の頼清徳副総統と、最大野党で対中融和路線を取る国民党の侯友宜・新北市長、同じく親中の野党第2党、台湾民衆党の柯文哲・前台北市長だ。
「一時は野党が統一候補を模索し与党候補を上回るのではとも見られた。だが野党が決裂し、与党の頼氏が一歩リードと言われている。しかし、特に軍事科学院の強烈なメッセージの裏には、ギリギリのところで台湾野党の一本化を工作する自信が見え隠れしているとの話がある」(日本の公安関係者)
そしてもう一つは、日本の政治情勢の大混乱が大きいと言う。
「キックバック問題で揺れに揺れる岸田内閣は、海外から見れば崩壊寸前と捉えられて当然。ましてや今年7月、尖閣周辺の日本のEEZ(排他的経済水域)内に中国のブイが設置されていることに、いまだに岸田内閣は中国に対し形だけの抗議だけで何もせず、ブイはそのまま。日本は完全にナメられており、台湾についても尖閣についても口を挟むなよ、と釘を刺されているようなものです」(前出・公安関係者)
尖閣のブイの対応で話をまとめられない岸田政権が、中国の「台湾統一」を阻止できるはずがない。
(田村建光)