発見された場所や時代とがまったくそぐわない、いわゆる「場違いな」出土品や加工品を総称して「オーパーツ」と呼ぶが、そんな造語の生みの親が、英ケンブリッジ大学卒の動物学者であり、超常現象研究家として知られるアイヴァン・サンダーソン博士だ。
サンダーソン博士は1965年に超常現象関連団体「SITU」(未解明調査協会)を設立。ファフロツキーズ現象や、グロブスター等、超常現象やUMA関連用語の考案者であるが、同氏の指摘により長い間、動物をかたどった装飾品と考えられてきたものが、実はジェット戦闘機を模したものだと判明したオーパーツがある。それが1969年にコロンビア・シヌー地方の古代遺跡で発掘された、通称「黄金スペースシャトル」と呼ばれる黄金細工だ。
オーパーツに詳しい古代遺跡研究家が説明する。
「この黄金細工は、直径は約5センチ。発掘後の調査によれば、作られたのはシヌー文化(紀元500年~800年)時代か、さらに古いプレ・インカ文明のものとされ、当初は鳥、昆虫、トビウオ、プレコ(南米に生息するナマズの一種)を模した装飾品だとみられていました。しかし、動物学者でもあるサンダーソン博士は鑑定の中で、この黄金細工に見られる機械的な属性に着目し、航空力学の専門家に鑑定を依頼。すると複数の専門家から、航空力学の論理にかなっている、との見解を得ることになったのです」
博士は1969年、「Argosy」誌に「古代南米には飛行機を持った文明が存在した」という記事を掲載すると、そのニュースが世界へ伝わり、一躍、黄金スペースシャトルの存在が世界中に知られるようになったのである。
「むろんそんな古代に、航空力学の論理にかなった飛行機を、誰が何の目的をもって作ったのかは、全くわかっていません。ただ、発掘地のコロンビアと、ナスカの地上絵のあるペルーが地理的に近いことに加え、ナスカの地上絵が描かれたとされる年代と、黄金スペースシャトルが作られた年代が不思議と一致する。研究者の多くが、両者の間にはなんらかの関連があるに違いない、と推測しているようです」(前出・古代遺跡研究家)
この手に乗るほどの小さなオーパーツは、コロンビアの首都ボゴタにある、国立銀行付属黄金博物館に展示されている。そして訪れる研究者たちの夢を大きく膨らませているのだった。
(ジョン・ドゥ)