巨人時代の松井秀喜氏がFA権を取得したのは、3度目の本塁打王と打点王に輝いた2002年オフだった。巨人の4番がメジャー行きを表明し、ヤンキース入団の報を知って驚いたのは、なにも巨人党だけではなかった。
野球解説者・掛布雅之氏のYouTubeチャンネル〈掛布雅之の憧球【公式】〉に出演した松井氏が、メジャー行きの思いを決定的にすることになった「事件」を激白した。
「1999年、巨人は優勝できなかったんですよね。当時はヤンキースが強い時期で、ニューヨークでプレーオフをやってるっていうので、シーズン終わって10日間くらい休みあって、ヤンキースの試合を見に行きたいと思って。しかもリーグチャンピオンシップで、相手がボストン・レッドソックスで、いちばんいいの見ちゃったんですよ。今まで自分がやってきた野球の空気感じゃない。ダメだ、これは見ちゃいけないものを見ちゃった、と思って…。帰国してからもずっと、心の中に残ってるんですよ。だからメジャーっていうよりも、私はヤンキースの、あのヤンキー・スタジアムなんですよ」
松井氏の言う1999年の巨人は、先発三本柱として長らく投手陣を牽引してきた槙原寛己、斎藤雅樹、桑田真澄が揃って1ケタ勝利。ルーキーの上原浩治が20勝で、ひとり気を吐く快投を見せたものの、チームは2位に終わる。
「もっとも、巨人が優勝を逃したのは1997年から3年連続で、松井のメジャー志向を高めるのに十分な期間があったのでは」(球界関係者)
2009年、松井氏は日本人唯一となるワールドシリーズMVPを獲得。胸のすく思いのプロ野球ファンは多かったはずだ。
(所ひで/ユーチューブライター)