支持率は10%台まで急落。自民党派閥のパーティー裏金疑惑は、東京地検特捜部の事情聴取が、松野博一前官房長官ら安倍派幹部に及んだ。沈没寸前の岸田政権はどこへ向かうのか。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「最大9月末の総裁任期切れで終わり。退陣は既定路線」と断言する。
「その場合、道は2つ。『破れかぶれ解散』に打って出ること。解散したら、普通に考えて今の自民党では選挙は勝てない。ところが岸田総理に近い人いわく、彼は追い詰められたら突拍子もないことをする人だという。もしも自公で過半数を取れれば信任されたことになるので、もう1回できる。支持率が1%でも上がれば、解散カードに踏み切るかもしれない」
続けて2つ目は、
「退陣して誰かを据えること。そこで選挙の顔になる人ということなら、人気の高い石破茂、河野太郎、小泉進次郎となるのですが、この危機的状況に本来なら仲の悪い麻生太郎と菅義偉前総理が手を組み、最近評判の上川陽子外相(70)を総理に据える。高市早苗経済安保相(62)と総裁選で戦わせ、史上初の女性総理誕生というストーリーを描けば日本中が大いに盛り上がるでしょう」
果たして、国民がそこまで待てるかどうか。支持率は危険水域と言われる20%を大きく割り込み、過去最低の森喜朗内閣の9%も視野に入った。「増税メガネ」から「最低メガネ」に呼称が変わる可能性もある。永田町では「年明け解散」説も高まっている。討ち果たす覚悟があの人にあるとも思えない。
そこである政治部デスクは、「禁じ手だが‥‥」という前提でこう話す。
「岸田総理は自民がかねてから連立入りに秋波を送っていた、国民民主を味方に引き込むウルトラCを画策している。むろん国民民主としても今の自民とは手を組みたくない、そこで手土産として玉木雄一郎代表(54)を首相の座に据えるわけです。 玉木氏に賃上げの旗振りをさせれば増税にあえぐ国民のガス抜きになる。そればかりか、自民党は連合の組織票も手中にし、野党統一も阻止できる。このままでは自民党は下野まで覚悟しなくちゃいけない事態だけに、実現する可能性は高い」
かつて細川護熙政権で下野をした自民党は、水と油の社会党と自社さ連立政権を打ち立てて、村山富市氏を首相に据えた過去を再演することになるか。
誰が首相になるかの問題が一番先だろうが、「政界再編もありうる」というのはさる自民党関係者。
「今回の裏金問題を好機とばかり、麻生派、茂木派は安倍派の切り崩しを図っています。安倍さんの死後、安倍派5人衆は『俺が俺が』でまとまらず、いまだに会長不在の呉越同舟です。もともと最大派閥だったのも寄らば大樹の陰だからで、裏金の旨味もなく、もはや泥船となれば、者が現れてもおかしくない。OB森喜朗氏は何とか安倍派存続を萩生田光一前政調会長(60)に託したと言いますが‥‥」(政治デスク)
安倍派一強だったことが裏目に出ることになりそうだが、前出・鈴木氏が警鐘を鳴らす。
「石破だ、上川だ、永田町で聞こえてくるのは自民党内でどう首相をたらい回すかの話ばかり。この危機に国民生活をどうするのかという話がまったく出てこない。その意識の低さがこうした政治不信を呼ぶ事態を招いたんだと思います」
24年のニッポン政治は、政界再編ガラガラポンが必至の年となりそうだ。